没後25年「今こそ読むべき」が最もふさわしい作家・安部公房の世界(BEST TIMES)

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◆現代の問題を予見、今だから読むべき傑作  あえて公房文学のベスト5を挙げるなら、『カンガルー・ノート』『箱男』『密会』『方舟さくら丸』『第四間氷期』。 『カンガルー・ノート』は退職後の人生=地獄をいかに生きるかをブラックに描いた。 『箱男』は、言わばオタク意識に生きるひとのための小説。 『密会』は、張り巡らされた監視・盗聴システムから逃れようと逃走する主人公を描く。 『方舟さくら丸』は、魅力的なユープケッチャと、何でも嚥み込んで咀嚼する便器が印象的。 『第四間氷期』はAI(人工知能)を先取りした早すぎた作品。AIの予言通り、殺し屋の足音が聞こえるラストシーンがコワイ。  先見性と娯楽性に満ちた、小説世界を楽しんでほしい。 ~今だから読むべき傑作5選~ 『カンガルー・ノート』  そう遠くはないだろう死を意識した安部公房の、徹底したスラップスティック・コメディー。脛にかいわれ大根が生えた男が、女と少女に翻弄される。 『箱男』  箱を被ってすべての「帰属」を捨てた男の行く末は?  安部はいわゆる“浮浪者”の在り方に深い関心を持ち、彼らの生き方を考えていた。 『密会』  とある病院に張り巡らされた盗聴システム。妻を奪い返しに来た主人公は、閉鎖された病院の地下室から脱出できずに立ちすくむ。 『方舟さくら丸』  核シェルターで自分が生き残るためには、他者を犠牲にすることも仕方がない、という考えを拒否する“逆進化論”に立つ安部の覚悟を高らかに宣言した作品。 『第四間氷期』  人工知能(AI)の予言に備えて発生をコントロールされた水棲の少年が、なぜか心を惹かれる陸地の音を求めて、ついに海岸に辿り着く哀切なラスト。 〈雑誌『一個人』2018年4月号より構成〉

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(2018/03/30)