東南アジア構造改革と地域統合にOECDの力を OECD政府代表部参事官 安部憲明氏(産経新聞)

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 8、9の両日、経済協力開発機構(OECD)が進める「東南アジア地域プログラム」初の閣僚会合が東京で開催される。  世界最大のシンクタンクであるOECDを活用しながら、「誰も取り残さない」との決意で東南アジア諸国連合(ASEAN)各国の改革をいかに支援していくかが、最大テーマだ。  現在、OECDに東南アジアの加盟国はない。けれども、「OECDが金持ちクラブだ」という東南アジア側の先入観は事実に反する。第二次大戦後の欧州復興計画に由来するのは確かだが、1961年には、市場経済に基づく幅広い国際協調と途上国の開発を任務とする機関に衣替えした。  早速、日本が1964年に加盟して以降、近年は、旧ソ連圏や中南米に地理的にも拡大し、目下、経済規模や社会水準も異なる35カ国が集い、内戦を終結したコロンビアが加盟目前にある。富ではなく、改革意欲こそが資格条件なのだ。  クラブとの俗称とは裏腹に、OECDほど外に開かれた国際機関もないだろう。公共政策に関する分析や提言を惜しみなく提供し、非加盟国にも最先端の議論に参加する扉を開放する。こうした特長が、東南アジア各国に「わざわざ加盟せずともよい」と思わせているのは皮肉だ。  他方、OECD側は、長引く東南アジアの不在に危機感を募らせる。国際経済に占める加盟国の割合は逓減の一途であり、グローバル・ガバナンスにおける影響力を高めるべく、新興国への関与に必死である。特に「世界の成長センター」である東南アジアは、対外戦略上の優先地域だ。  ここに来てASEANのいくつかの国は「中所得国の罠」に危うく足を掛けつつある。成長の配当は広く行き渡らず、格差も深刻だ。高齢化が始まり、急激なグローバル化やデジタル化の中、高い競争力を持続するのは容易ではない。  現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」を通じて国際市場への浸潤を図る中国の影もちらつく。ただし、中国は企業の海外展開など分野によっては、OECDを「新常態」移行の知恵袋とたのみ、そこに蓄積された政策技術や各種基準の受容に熱心な面もある。  中国の規範意識を高めて、国際経済への統合を国際ルールと融合的に進めるためにも、東南アジア地域での質の高い国際基準の普及と確立は急務である。  今後、OECDは、得意とする技術革新や人材育成を通じた生産性の向上、中小企業支援、女性や高齢者の

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(2018/03/07)