21人以上の打者と対戦させないドジャース理論 エースのプライドよりデータ【メジャー2020「データ野球」の内幕】(日刊ゲンダイDIGITAL)
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【メジャー2020「データ野球」の内幕】#5
ドジャースは原則として投手に21人以上の打者と対戦させない。
ほとんどの投手は打者21人目から24人目の対戦までに大きな疲労を迎える――そうチームのデータ解析やメディカル班が導き出したからに他ならない。
ワールドシリーズの6試合を見てみても、第1戦、5戦のカーショー、3戦のビューラー、どの試合でも彼らは21人目の打者との対戦直後にマウンドを降りている。
球数はカーショーの第1戦が78、5戦が85、ビューラーの3戦が93だから、球数でなく対戦打者の人数で交代していることは明らかだ。
第5戦のカーショーは五回終了時にロバーツ監督から交代を告げられながら続投を直訴。受け入れたロバーツ監督は六回のマウンドに送り出すも、20人目、21人目の打者と対戦を終えると、ターナー三塁手をはじめ他の野手から続投懇願の声が上がる中、2死走者なしの状況でカーショーを降板させた。
■エースと監督のハグ
この継投に場内はブーイングに包まれたが、しかし、そこで待っていたのは何の不満も見せずにほほ笑むカーショーとロバーツ監督の固いハグだった。ゲームプラン通り、ブレがなかったからだろう。
これは後に行われた第6戦、スネルを交代したレイズのキャッシュ監督にも言えることだ。誰もが続投を予想した場面での交代だったが、これも当初のゲームプラン通り、スネルにも分かっていたはずである。エースのプライドよりデータを優先させたのだ。
この2チームは継投のとらえ方にも似たところがある。
リリーフとは救援、つまりピンチに陥っている投手を救援するという意味である。この2チームはしかし、そうは考えない。あまりにも崩れてしまった投手の後に投げる投手は文字通り救援だが、それまで好投している投手であっても勝つためにはあっさりと交代してしまう。特にプレーオフなどの短期決戦では、そのような継投が多く見られる。
第2戦のドジャースの先発はゴンソリン。オープナーとしての起用だったが、ドジャースは近代野球でこのオープナーをワールドシリーズで取り入れた最初のチームとなった。しかも、そのオープナーを考案したチーム相手に……。
2チームのようなデータ解析を駆使した野球がいま米球界を席巻しているがゆえに、経験や情による采配にも魅力を感じてしまう。
■青と茶