人間国宝・坂田藤十郎さん 前日の散髪「人気役者の見事な最期」 パーキンソン病を発症、闘病短く「ほぼ生涯現役」(夕刊フジ)

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 【ドクター和のニッポン臨終図巻】  近松門左衛門の『曽根崎心中』は、江戸時代に実際にあった商人と遊女の心中事件を基に描かれた作品。2人が死に場所に選んだお初天神(露天神社)は、大阪御堂筋にあり、私も近くを通る時は手を合わせています。それにしても、「情死」とはすごい日本語ですよね。憧れと怖さが同居する二文字です。  この『曽根崎心中』の遊女・お初が当たり役となり、生涯をかけて妖艶に演じ続けた上方歌舞伎の大御所、人間国宝であられた坂田藤十郎さんが11月12日に都内の病院で亡くなられました。享年88。死因は、老衰との発表です。  報道によれば、昨年末の顔見世興行で転倒をしてしまい、頚椎を圧迫骨折。今年の初めから入院されていたそうです。骨折治療を続けていましたが、その後パーキンソン病という診断を受けています。パーキンソン病とは脳幹のドーパミンが減少するため、歩行が障害されて転倒しやすくなる病気です。  舞台上で転倒されましたが闘病期間も1年未満でしたから、ほぼ「生涯現役」だったと言えるわけで、ご自身も本望であったのではないでしょうか。病室で最期を看取った妻・扇千景さんは、「寝ているんだなと思ったら、目の前ですーっと息を引き取った。最後まで私が見ている間に亡くなり、大往生でした」とお話しされています。  すーっと息を引き取る。平穏死の最期の呼吸とは、まさにそんな様子です。死が間近に迫ると、下顎(かがく)呼吸といって、呼吸回数が減ると同時に、顎を上下させ大きくゆっくりと息をするようになります。  来年2月に公開が決まった私が原作の映画『痛くない死に方』(高橋伴明監督)では、宇崎竜童さんが、この下顎呼吸を演じています。私が医療指導に入り、リアルな「死にざま」を宇崎さんにお願いをしました。また臨終の1日前に現れる様々な症状(私は「死の壁」と呼んでいます)を知っているか知らないかで、最愛の人を見送るご家族の心構えが、大きく違ってくるはずです。  扇千景さんと息子さんは、慌てることなく、穏やかに藤十郎さんの旅立ちを見届けました。そして11日に藤十郎さんは「髪が伸びた。お年寄りみたいだ」と理髪師を呼んだとのこと。死の前日の散髪とは、人気役者にふさわしいお見事すぎる最期。「昨年の87歳まで一度も舞台を休んだことがなく、風邪もひかないで芸能人生を過ごせたことは皆さんのおかげで

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(2020/11/24)