BL誕生50年の源流 美少年マンガの先駆「雪と星と天使と」(夕刊フジ)

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 【マンガ探偵局がゆく】  実は、探偵長にとってはアウエーなジャンルの依頼だが、がんばってみた。  「大ファンというほどではないのですが、BL(ビーエル)マンガが好きで、マンガアプリなどを読んでます。先日、今年はBL誕生50年と聞きました。私が生まれる前からあったなんて信じられないのですが、本当でしょうか?」 (パート主婦・43歳)  BLの歴史については諸説あっていちがいには言えないが、1978年9月にサン出版から創刊された雑誌「COMIC JUN」がひとつのエポックという点は一致しているようだ。  その頃まだ〈耽美系〉や〈美少年もの〉と呼ばれていたマンガや小説を掲載する雑誌で、創刊号では竹宮惠子が表紙と短編「変奏曲」を描き下ろし。ほかにも青池保子、大島弓子、木原敏江らのカラーイラスト、中島梓の評論、ひさうちみちおの短編、いしいひさいちの四コマまで加わるという超豪華な顔ぶれだった。  3号からは「JUNE」と改題されて、〈JUNE系〉という言葉も生んだ。  その「COMIC JUN」創刊号にマンガ評論家・小峰聡(米沢嘉博の別ペンネーム)による「美少年マンガの系譜」という論考が掲載されている。これによれば、美少年マンガの先駆となったのは、竹宮惠子が小学館の「別冊少女コミック」1970年12月号に発表した短編「雪と星と天使と」。のちに「サンルームにて」と改題された作品だ。  主人公は、空き家になった屋敷のサンルームを勝手に自分の城のように使っていたロマの少年・セルジュ。新たに屋敷の住人になった一家の妖精のように美しい兄妹、エトアールとエンジェルはそれぞれにセルジュに関心を示す。そして、病弱なエトアールのセルジュへの思いがふたりの運命を悲しい結末に導いていく。セルジュはBLマンガの代表作とされる竹宮の長編『風と木の詩』(1978~84)の登場人物の原型でもある。  この作品が突破口を開けて、のちに米沢嘉博が「24年組」と名付けた竹宮と同世代の少女マンガ家たち、萩尾望都や大島弓子、山岸凉子、木原敏江らがタブーに挑戦した傑作を次々に発表するようになった。  やがて〈少年愛もの〉というジャンルが生まれ、より過激な要素も加えながら90年代に〈ボーイズ・ラブ〉さらに〈BL〉へと変遷していった、と考えれば、2020年は「BL誕生50年」と言ってもいいわけだ。  

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(2020/11/24)