時代を築いた巨大望遠鏡が解体へ、破損相次ぎ、プエルトリコ(ナショナル ジオグラフィック日本版)

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 アレシボ天文台にとっては試練の数カ月だった。今回の決定は、その末に出されたものだ。  この巨大望遠鏡は、直径305メートルの巨大パラボラアンテナで反射した電波を上空に吊るした受信機でとらえる仕組み。ところが2020年8月以降、上空の900トンにもなる受信プラットフォームを吊り下げているケーブル2本が切れてしまった。  技術チームは望遠鏡を安定運用しようと努力してきたものの、その他のケーブルにも強度の低下や劣化の兆候が見られ、場合によってはプラットフォームが落下して約140メートル下のパラボラアンテナを突き破るかもしれないとの懸念が高まっていた。そして今回、NSFは修復を断念し、望遠鏡の運用廃止を決定した。 「望遠鏡は大惨事を引き起こす恐れがあります」とNSFは11月19日の声明で述べた。「いかなる修復の試みも、作業員の生命を危険にさらす可能性があります」  アレシボ天文台の望遠鏡は1960年代初頭に建設され、プエルトリコの人々の誇りの源となってきた。太陽系外のものと初めて確認された惑星を発見するなど、科学的にも重要な役割を果たしてきた。また、重力波がパルサーと呼ばれる天体から放出されていることを証明し、この成果は1993年のノーベル物理学賞に輝いた。さらに、アレシボ天文台の望遠鏡は強力なレーダーとして、地球軌道に飛来する小惑星の探知にも役立ってきた。 「サンフランシスコにとってのゴールデンゲートブリッジや、ニューヨークにとっての自由の女神の意義を考えてみてください。プエルトリコにとってのアレシボは、それ以上のものであり、単なる象徴を超えた存在なのです」と、リベラ=バレンティン氏は書いている。「一部の人にとっては、目指すべき目標であり、我々は偉大なことを成し遂げることができるというシンボルであり、それが自分の住む地域にあって我々は全世界の役に立っているという誇りにもなっていたのです」  この10年、アレシボ天文台は、次々と試練に見舞われてきた。2017年のハリケーン「マリア」では、島のインフラの多くが破壊され、望遠鏡も損傷を受けた。最近の群発地震では、パラボラアンテナの構造の健全性が失われた可能性があると、アレシボ天文台の元所長で現米アリゾナ大学教授のマイケル・ノーラン氏は言う。  近年、NSFは、望遠鏡の廃止を提言するいくつかの報告に基づいて、資金投

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(2020/11/24)