「年1.8億時間のムダ」報告書から5年…再配達は削減されたのか?(ビジネス+IT)
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●国土交通省 再配達報告書を振り返る
2015年10月、国土交通省は、報告書「宅配の再配達の削減に向けた受取方法の多様化の促進等に関する検討会」を発表した。報告書では、宅配再配達に伴う社会的損失として、以下の2つを挙げている。
・「再配達による社会的損失は、年間約1.8億時間・年約9万人分の労働力に相当する」
・「営業用トラックの年間排出量の1%に相当する年約42万トンのCO2が発生(山手線の内側の2.5倍の面積のスギ林の年間の吸収量に相当)」
報告書において、再配達削減の対策案として挙げられたのは、以下である。
・消費者(受取人)に対し、配送予定日時を通知すること。
・消費者が、簡単に配達日時の指定を行えるようにすること。
・配達日時指定の無償提供や、21時以降の配送実施、30分単位での配達時間指定など、配達サービスの高度化を図ること。
・再配達に関する社会的損失を広く広報すること。
・再配達を発生させなかった消費者に対するポイント還元など、インセンティブ付与を設定すること。
・コンビニ、鉄道駅などでの受け取りを推進すること(公共宅配ボックスの整備を含む)。
・宅配ボックスに対する利便性向上を目指した機能進化を行った上で、普及と整備を促すこと。
総体的に言えば報告書は優れたものであった。だが、報告書内において挙げられた再配達削減対策案に関しては、首をかしげたくなるものもある。
たとえば配達日時の指定に対する考え方である。同報告書では、消費者の在宅時間と配達日時をマッチングすることにとらわれるあまり、「時間指定イコール再配達の削減につながる」との考えを強調しすぎているきらいがある。
再配達問題の要は、ドライバーという限られた労働リソースを過剰に消費していることにある。時間指定はドライバーの労働を偏らせかねない。もし仮にECサイトにおける購入者の8割が時間指定を行い、かつその8割が夜間帯を時間指定したら、夜間帯にドライバーの頭数が多く必要になり、ドライバー不足はますます加速することになりかねない。
さらに言えば、賃金割増の必要な22時以降の配達枠を設け、時間指定の無償提供も行わなければならない(※ともに対策案3.)となると、運送会社の経営はさらに悪化し、ドライバーの待遇にも影響しかねない。にもかかわらず、一度で受け取りができた消費者に対