32歳の若さで命を絶った歌人が映画『滑走路』で示した希望(HARBOR BUSINESS Online)

【リンク先抜粋】
 この映画『滑走路』には、3つの大きな物語の軸がある。それらを、まずは簡潔に記しておく。  厚生労働省で働く若手官僚の鷹野は、日々激務に追われ、自身の無力さに打ちひしがれていた。ある時、NPO団体が持ち込んだ非正規雇用が原因で自死したとされる人々のリストの中から、自分と同じ25歳で自死した1人の青年に関心を抱き、その死の真相を探り始める。  切り絵作家の翠は30代後半に差し掛かり、将来への悩みを抱えていた。同時に、高校の美術教師である夫との関係性に違和感を覚えながらも、彼女自身は夫の子どもを欲していることを自覚していた。  中学2年生の学級委員長は、幼馴染の少年を助けたことをきっかけに、いじめの標的になってしまう。彼はシングルマザーの母に心配をかけまいと1人で問題を抱え込んでいたが、ある1枚の絵をきっかけに、クラスメートの少女とのささやかな交流が始まることになる。  初めこそ、この3人の主人公の人生は、それぞれ関わりが全くないように見える。しかし、観ていくうちに少しずつ、そこには密接な“つながり”があることが明らかになっていく。バラバラに思えたエピソードが、やがて有機的に絡み合うという流れには、謎解きをしていくような面白さがあるのだ。  本作の制作メモに参考として記されていたのは、『ショート・カッツ』(1993)、『マグノリア』(1999)、『クラッシュ』(2004)といった、やはり複数のキャラクターの運命が交錯していく“群像劇”だったという。これらの映画が好きな方であれば、きっと『滑走路』も気に入るだろう。

続きはこちら

(2020/11/22)