主人公が薬物依存症のNetflix注目ドラマ『クイーンズ・ギャンビット』…「才能と薬物」の危険な神話について【ネタバレ注意】(ハーパーズ バザー・オンライン)

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 Netflixで配信開始されたシリーズ『クイーンズ・ギャンビット』にはダークな要素がいっぱいだ。  主人公ベス・ハーマン(アニャ・テイラー=ジョイ)は、母が彼女を乗せた車で自殺を図り、孤児院に入れられた。彼女の養母アルマ・ウィートリー(マリエル・ヘラー)はアルコール依存症で途方もなく酒代が嵩み、肝炎のためホテルのベッドで死んだ。ベス自身も薬物中毒だ。それでも、全体としてはなぜかフィールグッドなストーリーになっている。 【写真】話題のNetflixドラマ『クイーンズ・ギャンビット』のキャストをおさらい ベスの人生は、破滅しそうになるたびに、なんとか大丈夫になる。孤児院では年上の女の子、ジョリーン(モーゼス・イングラム)と友だちになり、ぶっきらぼうだけれど勇気を与えてくれる用務員シャイベル(ビル・キャンプ)がチェスのメンターになってくれる。彼女の養母は明らかに問題ありだけれど全体的には協力的で愛情があり、ベスのチェスのキャリアを育んでくれる。彼女が亡くなるとベスは嘆き悲しむが、チェスの試合を捨てたりはしない。やり続けなければならないのだ。チェス界のベスのライバルですら仲間になり、彼女の戦略を助け、応援する。 『クイーンズ・ギャンビット』がザラザラした雰囲気のドラマでないことはわかっている。魅力的な1960年代のワードローブに身を包んだ若い女性が自力で男を破っていく楽しくおもしろいストーリーなのだ。だから、ある程度は現実逃避で見た目を良くしているのは許せる。が、この明るいものの見方が問題になる領域がひとつある。それはベスの薬物乱用の描き方だ。 第1話「オープニング」で、母を亡くしたベスは孤児院に送られるが、そこでは毎日スタッフが少女たちに薬物を与える。緑の薬はおそらく、60年代に一般的に処方されていたザナックスに似たベンゾジアゼピン系鎮静剤のリブリウムのフィクション版と思われるXanzolamだ。薬物は、孤児たちがトラウマに対処するためというより精神を安定させるために投与される。 友人で孤児仲間のジョリーンのアドバイスで、ベスは薬をとっておいて寝る時に飲むと、シャイベルさんから習い始めたチェス盤の幻を見る役に立つことを発見。毎日、授業を抜け出してシャイベルと対戦して学び、夜になると緑の薬を飲んで、天井に逆さまに現れたチェス盤にさまざまなチェスのシナリオを展開し

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(2020/11/22)