サウジ、存在感示せず…アラブ初のG20議長「人権」拭えぬ不信(産経新聞)

【リンク先抜粋】
 【カイロ=佐藤貴生】今年の20カ国・地域(G20)議長国は石油大国サウジアラビアがアラブ諸国で初めて務めた。21~22日開催の首脳会議(サミット)では各国首脳が一堂に会する場を利用し「中東の盟主」を国際的にアピールする狙いだったが、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)で対面式の開催は見送られ、存在感を発揮できたとは言いがたい。一方で人権侵害への批判が高まるなど、むしろサウジを取り巻く厳しい環境が浮き彫りになった。  「(新型コロナの感染拡大など)私たちは地球規模の危機に直面している。首脳会議は重要で決定的な成果をもたらすはずだ」。サウジのサルマン国王は21日、首脳会議の開会演説でこう述べた。横にあったのはムハンマド皇太子の姿。次期国王と目される皇太子が内政・外交に大きな権限を握っている実態をうかがわせた。  皇太子をめぐっては人権弾圧に関与しているとの観測が絶えない。2018年に在トルコのサウジ総領事館で起きた反体制記者殺害事件では犯行を主導したとの疑惑が浮上した。サウジは現在も女性の人権活動家らを不透明な司法手続きで長期間拘束している。  サウジは今年、むち打ち刑や未成年の犯罪者に対する死刑を廃止すると表明した。国際社会の批判を和らげる狙いがにじむ。しかし、ロンドンやパリ、ニューヨークの市長らはG20関連イベントへの参加をボイコットし、強権的な姿勢が目立つ皇太子に対する欧米の不信感がぬぐい切れない実情を示した。  サウジの財政もコロナ感染拡大で大きな打撃を受けている。原油需要の急落に加え、海外からの直接投資も鈍化する見通しだ。巨額の収入をもたらしてきた同国西部のイスラム教聖地メッカへの巡礼も、大幅な制限に追い込まれた。  国際通貨基金(IMF)はサウジの国内総生産(GDP)実質成長率を前年比マイナス5・4%と予測。皇太子が産業や雇用の多角化を目指して主導している社会・経済改革「ビジョン2030」の停滞も確実視され、G20議長国となった昨年末に比べると、サウジを取り巻く経済環境は様変わりしている。

続きはこちら

(2020/11/22)