『フード・ラック!食運』を焼肉映画に留めないNAOTOの演技力(FRIDAY)

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『寺門ジモン第一回監督作品』『もし焼肉が最高の演技をしたら』、という映画『フード・ラック!食運』予告編のキャッチコピーを見て、あなたは何を感じるだろうか。率直な僕の第一印象を書けば、「また芸能人監督の企画モノ、焼肉グルメ題材のネタ映画かなあ」と思ってしまったのは事実である。 【画像】NAOTO&土屋太鳳 『フード・ラック!食運』フォトギャラリー だが一足先に試写室で見た感想を書かせてもらえるなら、その第一印象を大きく超える、地に足のついた良作だった。 「歴戦のグルメライターと若い女性編集者が奮闘する」というグルメ映画の王道的定型構造を持つ本作が、確かに監督のネームバリューと焼肉グルメ情報を宣伝のフックにしていることは事実だ。でもそれ以上に、この映画は丁寧に練られ、よく煮込まれて作られている。映画の中に登場する、何の変哲もない定食屋で主人公たちを驚かせる、作り込まれたランチ定食のように。 こうした『丁寧さ』『手のかけ方』を、鑑賞前の観客に説明することはとても難しい。「あそこのアジフライ定食さ、普通のアジフライ定食なんだけどメシも味噌汁も丁寧で美味いんだよ」と職場の同僚に力説しても「要はアジフライ定食なんだろ?」と返されてもおかしくないように。 だが映画と料理は似ている。同じ俳優を使い、同じ予算で同じような盛り付けで客に出しても、よくできた映画と「手間を節約した」映画はハッキリと客にわかる。この映画は後者のように見えるかもしれないが、前者である。 派手な仕掛けはない、飲食産業とグルメライターたちの小さな物語だ。制作規模も大きくはなく、限られた時間と予算で節約して撮っている。だがこの映画はその代わり、知恵と感性をあふれるほど注ぎ込んでいる。 ◆単に「スターを連れてきた」わけではない、キャストの絶妙さ 監督の寺門ジモンが映画メニューを構成する時、まず「奮発」して勝負に出たのは主演のスター、EXILEのNAOTOだろう。料理で言えばメインディッシュ、看板俳優だ。だが、単に大金をはたいて闇雲にスターを連れてきたわけではない。映画を見た多くの人がおそらく驚くだろうが、NAOTOの演技が実に地に足がついていて素晴らしいのだ。 この映画でNAOTOは、飲食産業に人生を捧げて生きる人々に関わるグルメライターを演じるのだが、そこで彼は焼肉の用語を借りるならば「熟成」した

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(2020/11/22)