非公開の弾薬庫や要塞巡りが人気呼ぶ旧軍施設ツアー 「負の遺産」から観光資源に(産経新聞)

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 明治時代からの軍港としての面影を残す京都府舞鶴市。平成28年には神奈川・横須賀、広島・呉、長崎・佐世保の旧軍港とともに文化庁の日本遺産に認定され、観光名所としても人気が高い。今月開催された砲台や浄水場といった普段は非公開の旧軍施設を巡るツアーは、すぐに予約が満員となる盛況ぶり。「負の遺産」だった旧軍施設を観光資源として活用する逆転の発想が功を奏したようだ。(井上裕貴) 【写真でみる】数々の旧軍施設が残る舞鶴市  ■一度も使われなかった要塞  険しい山道を登ること1時間。標高約200メートルの山頂にれんが造りの旧陸軍弾薬庫が突然現れる。土で覆われた屋根の上には草木が鬱蒼(うっそう)と生い茂り、今にも崩れそうな壁が刻んだ年月の長さを思わせる。  この一帯は、葦谷(あしだに)砲台跡。明治30年代に旧陸軍がロシアとの戦争に備え舞鶴湾の湾口部にある国見山に設けた要塞で、砲6門が設置された。だが、実戦では一度も使われることがないまま先の大戦後に廃棄され、現在は地面にぽっかりと空いた砲座跡のみが残る。  暗い弾薬庫の中に入り、スマートフォンの光を頼りに進むと真っ白な壁が広がる。「火薬が湿気(しっけ)ないように漆喰(しっくい)が塗られています」。ガイドの秋安俊豪さん(63)の解説に、若者や家族連れらが熱心に耳を傾ける。  11月上旬に2回に分けて開催された「海軍さんの港まちガイドツアー」と銘打った旧軍施設めぐりの一場面だ。ツアーは舞鶴観光協会が平成28年から毎年開催し、毎回すぐに予約がいっぱいとなる盛況ぶり。  参加した兵庫県香美町の会社員、中村有里子さん(40)は「れんが造りの壁を見た瞬間、息をのんだ。国を守ろうとした120年前の人たちの力強さを感じた」と笑顔で話した。  ■鎮守府のまち  舞鶴市は現在も、秋田県から島根県までの日本海を守る海上自衛隊舞鶴地方隊の主要基地が置かれる港町。市内には「三笠」「富士」「敷島」といった旧軍の戦艦にちなんだ通り名が残る。  日清戦争後、日本はロシアとの戦争を見据えて海軍力を増強。湾口が狭く山に囲まれた天然の要害であった舞鶴湾に白羽の矢が立ち、明治34(1901)年、200戸にも満たなかった寒村に舞鶴鎮守府が開庁した。港や要塞といった軍事施設のほか、鉄道や水道といったインフラ整備も進んだ。市内には軍が作ったれんが倉庫12棟

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(2020/11/21)