インテグラル型 vs モジュール型、DXに有利な企業形態はどちらか?(ビジネス+IT)

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●技術変化と経済システムの特質  連載の第126回で解説したように、情報化が本格化する中で停滞に陥った日本経済については、大きく2つの論点があった。  1つは、日本がジャパン・アズ・ナンバーワンと称された時代に発揮していた特質が変わってしまったとする「変質説」、他方は、そもそもそうした特質は幻想に過ぎなかったという「不存在説」だ。  これらの議論に対して、クライン教授らによる日米共同研究では、第3の論点として、日本型システムの特質は確かに存在し、かつ、情報化が本格化してからも基本的に変わっていないという「存在・不変説」を提示した。  その上で、情報技術の進歩と急速な普及が日本経済の特質に深く影響し、「失われた10年」の停滞につながったと分析したのだ。つまり、情報化という技術体系のシフトによって、日本型システムの長所が短所に転換したとする「存在・不変説」+「技術変化」の視点だ。  確かに、情報化の本格化によって、日米両国を取り巻く経済環境が大転換し、基本的に以前と変わらない両国経済の特質が1980年代と1990年代に正反対の要因として作用したと考えれば、日米経済の「明暗と逆転」をうまく説明できる。  今回は、日本型と米国型の経済システムについて、Adams, et al.(2007)を手がかりに、当時の議論を再訪し、組織構造と雇用形態に見られる日米両国の特質がデジタル経済との親和性の面で、その後の盛衰にどう関わっていると見られるかを考察しよう。 ●日本経済の活況を支えた「統合型システム」とは  1980年代の日本経済の強さを分析した経済企画庁調査局(1990)によると、日本の企業システムには、ジャパン・アズ・ナンバーワンを支えるいくつかの特質があった。  それらの特質が、1970年代から1980年代にかけて、2度のオイルショックで世界経済が大混乱に陥る中、資源多消費型の重厚長大産業からハイテク型産業へ日本の産業構造を転換させる原動力になったとされる。  それらの特質とは、第1に「濃密な人的ネットワークによる対面型のコミュニケーション」、第2に「インフォーマルな人的コミュニケーションによる経営情報の共有」、第3に「部署間の業務が一部重複するなど境界が曖昧で複雑に入り組んだ柔軟な組織構造」、第4に「これらの特質を企業内のみならず企業間関係にまで拡張して

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(2020/11/21)