関西の鉄道5社、最終赤字 利用者目線忘れずに(産経新聞)

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 JR西日本、関西の大手私鉄4社は、令和2年9月中間連結決算で全社が最終赤字となった。JR西、阪急阪神ホールディングス(HD)の最終赤字は初。全5社が3年3月期に最終赤字を予想するなど、新型コロナウイルスの影響で運輸やホテルなど主力事業が打撃を受けている現状が改めて浮き彫りになった。各社は経営戦略の見直しにも着手したが、コロナ禍がいつ収束するかは見通せず、手探りの対応を余儀なくされている。  中間連結決算の最終損益はJR西が民営化後初の1281億円の赤字に転落したほか、近鉄グループHDも314億円の赤字で、中間連結決算の発表を始めて以来最大の赤字となった。3年3月期も全社が赤字となる見込みだ。  最大の理由は新型コロナによる運輸収入の減少だ。売上高の半分以上を運輸収入に依存するJR西は、その約5割を新幹線、約3割を近畿圏の在来線が占めるが、政府の緊急事態宣言の発令や企業の出張自粛、リモートワークの普及などで乗客が急減した。山陽新幹線は10月、乗客数が前年の半数以下にとどまった。  私鉄各社が得意とするホテルや旅行などのレジャー事業も厳しい打撃を受けている。政府の観光業支援策「Go To トラベル」などで、郊外の高級ホテルなどは回復を見せているが、都心部には客が戻っていない。  海外旅行の再開や、訪日外国人客の回復も期待できないなか、近鉄グループHDでは中間連結決算で、ホテル・レジャー事業の営業赤字が361億円と、運輸事業の営業赤字(197億円)を大きく上回った。  この状況を踏まえ、各社は経営戦略の大幅な見直しに着手した。JR西は中期経営計画で掲げた新幹線の乗客数目標やホテル事業の拡大計画を撤回。京阪HDは、来年にも終電を繰り上げる方針を明らかにした。  近鉄グループHDは、収益が改善されなければ運賃の値上げや、一部ホテルの撤退なども検討すると表明。傘下の旅行会社では、社員の3分の1を削減する計画も発表している。阪急阪神HDや南海電気鉄道は具体的な経営改革案を示していない。  ただ、安直な終電の繰り上げや運賃の値上げは客に不便や不利益を強いかねない。身を切る自助努力が不十分なまま利用者目線を失った戦略見直しを進めても理解を得るのは不可能だ。

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(2020/11/19)