ルーキーとチャンピオン──【連載】F1グランプリを読む(GQ JAPAN)

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F1ドライバーへの道はいくつもあり、人によってそれは異なる。試験制度によって上級学校に進めるような画一的なルールがあるわけではない。しかし、どんな方法であれF1まで辿り着くには高く険しい階段を上らねばならない。金があればF1のシートは買えるという説もあり、それが現実に形を為している場合も知っている。ただ、金で買うにしてもF1のシートに座るだけの実力がないと、チームは温かく迎えてくれない。余りに未熟だとメカニックに意地悪をされることさえある。テストが近づいているのにシート(抽象的な意味ではなく本当の)を作ってもらえなかったドライバーを知っている。誰もが歓待される世界ではないのがF1だ。 そのF1の世界に日本から新人ドライバーがデビューする可能性がでてきた。今シーズンFIA F2で活躍する角田祐毅(つのだ・ゆうき)がそのドライバー。噂では次戦バーレーンGPのFP1練習走行で初めて公式の場でF1を走らせるといわれている。チームはアルファタウリ。ホンダのエンジンを搭載したレッドブルのサテライトチームである。そして、その走りがチームに認められれば、来シーズンから正式なドライバーとしてレースを走る可能性がある。もし実現すれば2014年の小林可夢偉(こばやし・かむい)以来、実に6年振りの日本人ドライバー誕生になる。角田は2000年生まれで今年20歳になったばかり。4歳からカートレースを始め、2016年に16歳で4輪レースに参戦。2017年にはFIA F4で活躍し、18年にチャンピオン。19年からレッドブル・ジュニアチームのメンバーに抜擢され、FIA F3に参戦して優勝を飾り、今年はFIA F2にステップアップして2勝をあげる実力派だ。今年のFIA F2レースは残り2戦、チャンピオンの可能性も残されている。 角田の強みは攻撃的なドライブが出来ることだ。これまでF1グランプリを走った日本人ドライバーの多くは、その攻撃性に欠けていたと見られている。中には小林可夢偉や佐藤琢磨(さとう・たくま)のように例外もあったが、大方は守りを大切にする走りをするドライバーが多かったのも確かだ。狩猟民族の欧米型に較べて農耕民族の日本人の弱さなどと言う者もいたが、個々人の才能こそすべてのレースにおいて民族の差異を持ち出されても仕方ない。だが、角田に関してはF1チームの関係者も攻撃的な走りを高く評価する

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(2020/11/19)