正教もカトリックも手玉に取るルカシェンコが唯一支配できないのは?(GLOBE+)

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まず強調しておきたいのは、ベラルーシの地は東西のキリスト教がせめぎ合う前線になっているということです。ベラルーシという民族および国家は、正教会のロシアと、ローマ・カトリックのポーランドが数世紀にもわたってこの地で攻防を繰り広げ、その所産として生まれ落ちたような存在です。今日でも、東方キリスト教であるロシア正教と、西方キリスト教であるローマ・カトリックとが、混在しています。 調査によって異なりますが、今日のベラルーシでは、だいたいロシア正教徒が70~80%くらい、カトリック教徒が10~15%くらいと考えられます。ここでは、Pew Research Centerが行った国際比較調査の結果を参照してみましょう。これによると、ベラルーシおよび周辺諸国における宗教の信者比率は、上図のようになっているということです。ベラルーシでは、正教徒が73%、カトリックが12%という結果でした。 なお、ベラルーシやロシアなどでは、特定の宗派への帰属を名乗っていても、必ずしも全員が神を信じているわけではなく、増してや日常的に礼拝に参加しているわけでもありません。カトリックには信心深い人が比較的多いものの、正教徒の場合は単に自分の文化的・エスニック的なルーツとして「正教徒です」と申告しているだけの場合が少なくありません。社会主義時代の反宗教政策は、それなりに効果があったと言えるかもしれません。ちなみに、かつてルカシェンコは自らの宗教観を尋ねられ、「私は正教無神論者だ」という名言を残しています。 ともあれ、ベラルーシで正教が数の上で支配的であることは間違いありません。そして、正教が主流の国でありながら、ローマ・カトリック教徒も相当数いるというのが、ベラルーシの特徴です。上図に見るように、ウクライナもカトリックは一定数いるものの、その大部分はギリシャ・カトリックであり、ローマ・カトリックは同国ではごく少数です。以前「ベラルーシの民主化を牽引する地域は? ウクライナとの比較考察」で解説したとおり、ギリシャ・カトリックはユニエイト教会、東方典礼カトリック教会などとも呼ばれ、16世紀に正教会とカトリックを折衷して生まれた宗派です。 上図によれば、ラトビアでも正教・カトリック・その他の宗教(具体的にはルーテル派が多い)が拮抗していますが、ラトビアの場合は正教徒はほぼロシア系住民に限られると思われま

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(2020/11/18)