【カープの名スカウトの証言 倉義和】石原慶幸と熾烈な正捕手争いを繰り広げた男が持っていた“捕手としての資質”(広島アスリートマガジン)
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各球団スカウトの情報収集の集大成であり、球団の方針による独自性も垣間見られるドラフト会議。カープはこれまで、数々の名スカウトたちが独自の眼力で多くの逸材を発掘してきた。
【写真】緒方孝市氏が監督退任後、初めて語った“カープが目指すべき野球”
ここでは、かつてカープのスカウトとして長年活躍してきた故・備前喜夫氏がカープレジェンドたちの獲得秘話を語っていた、広島アスリートマガジン創刊当時の連載『コイが生まれた日』を再編集して掲載する。
今回は、1997年のドラフト5位でカープに入団。黒田博樹とバッテリーを組み頭角を現し、カープ一筋19年にわたり捕手としてチームを支えた倉義和の入団秘話をお送りする。
◆捕手獲得の際に重要視することは「肩=送球」と「捕球」。
倉は2つの基準をクリアし、特に肩の強さは抜群でした。
1997年のドラフト会議でカープは捕手を一人指名しました。それが倉義和です。関西地区を担当していた宮本スカウトから強肩の捕手が京都にいるという話を聞き、西京極球場まで彼を見に行きました。その試合で倉は強肩もさることながら、本塁打を打つなどバッティングも良かったのでドラフトで指名しようと考えました。
この年のドラフトでカープは捕手を獲得することは既に決まっていました。その前々年に伊与田一範(千葉経済大学付属高)を捕手として獲得していましたが、彼はこれまで捕手経験が全くありませんでした。球団としてはゼロから始めて大成してほしいと考えていたのですが、捕手という特別なポジションということもあり、入団後4年で内野手に転向してしまいました。そういうこともあって捕手の補強は必須でした。
カープが捕手を獲得するとき最も重要視していることは「肩=送球」と「捕球」です。
まず「肩=送球」についてですが、私たちスカウトが捕手の肩を見るとき「捕球してから投げるまでの早さ」と「送球自体の速さ」の二つを見ます。それぞれの塁へ速いボールが投げられるというのはもちろん大事ですが、それだけでは駄目です。投手が投げたボールを捕球してからいかに小さなモーションで早く投げられるか、これも捕手として重要な要素なんです。大学生や社会人では本塁から二塁まで大体1秒台を基準としています。
他にはスローイングの正確性を見ます。例えば送球したボールがスライダー回転をするようであればタ