コロナ禍で変則「真打披露目」も 「あの時は大変だった」とネタになれば(夕刊フジ)

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 落語家にとって生涯で最高のハレの門出になるのが、真打昇進だ。  今年5月1日付で、落語芸術協会(春風亭昇太会長)の昔昔亭A太郎(42)、瀧川鯉八(39)、桂伸三改メ桂伸衛門(37)が真打に昇進し、同日から披露興行が行われる予定だったが、コロナ禍で中止を余儀なくされた。  その延期公演が10月11日から始まった。新宿末広亭、浅草演芸ホール、池袋演芸場で10日間ずつ開催され、現在は国立演芸場で締めの10日間興行に入っている。  意外なことが起きた。国立演芸場と同時に、東京・上野広小路亭でも11月11~13日の3日間、披露興行が行われたのだ。  「春先から秋に日程を動かすだけでも、協会事務局の苦労は大変だったと思います。本来なら40日興行が終わってから、上野広小路亭、お江戸日本橋亭などで興行を数日間行うところですが、今年はやりくりがつかず、3日間ですが“同時開催”という異変が起きたのです」(演芸関係者)  30日間連続で弟子のA太郎の披露目に付き添った、師匠の昔昔亭桃太郎(75)は弟子の成長を感じ取ったようで、国立演芸場の初日公演で、「先代の(三遊亭)圓楽さんの感じに似ている。古典落語で爆笑をとるのは難しいけど、圓楽さんはうまかった。目指してほしい」とした後で「先代ですよ」と付け加え、観客のクスクス笑いをさらった。  歌舞伎のひと月公演以上に長い40日興行。緊張の中で行われる高座で新真打は成長する。  いい結果をバックアップするため周囲は環境を整える。2月に記者会見、3月にごひいき・関係者を集めた披露パーティーを開き(中止)、本番を迎える流れだったがすべては途絶えた。  「今の若手、2000年代の入門者は、お客のいない場所で落語をしゃべったことがない世代。今の50代以上の師匠は、客が入らなかった時代を知っているので、コロナ禍でも『今までがよすぎたんだ』と慌てていません。若い世代は客のまばらな寄席を目の当たりにして驚いていますが、今以上に悪くなることはないと考えて、踏ん張ってほしいですね」(興行関係者)  近い将来、「あの時代の披露目は大変だった」と、過去がネタになる日が来る。

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(2020/11/18)