将軍と幕府に武士道も…価値観崩壊した時代の「天」という存在 大河「麒麟がくる」に毎週ハラハラドキドキ(夕刊フジ)

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 【桂春蝶の蝶々発止。】  NHK大河ドラマ「麒麟がくる」にハマりまくっています。私は、この物語は推進力の多くが、「織田信長の狂気」にあると思っています。自らが信じるものにただ褒められたい欲動だけが、生きる意味となっている。  過去は両親に褒められたい願望が信長のすべてでありました。今は帝に愛でられ、「天下静謐(せいひつ=天下を安定に治めよ)」という勅命こそが原動力なのです。  そして、明智光秀の「あなたは麒麟を呼べる人だ」というセリフが出てきましたが、信長は「天」の存在を意識しはじめる。信長は当初から、「帝よりも偉いのは、お天道さまだ」と言っていました。まさに、そのお天道さま、「天」の使者である「麒麟」を呼ぶ人となることが、信長の最終目標となっていくのでしょう。  しかし、その信長のありようが、狂気に満ちあふれている。  歌舞伎にも「色悪」という言葉がありますが、善良なものと同じだけ色気漂う悪は魅力的なキャラクターになり得るのです。俳優、染谷将太さんの演技は素晴らしく、画面の前で「もっと狂って! 信長さまぁ!」と叫んでおる次第です。  さて、大河ドラマを中心としまして、戦国時代と幕末時代はとても人気が高い。これは歴史上、最も分かりやすく時代が動き、大切にしていた価値観が崩壊した時代なのでドラマを生みやすいのでしょう。  酔っ払いが居酒屋で「今の時代はさー! 幕末なんだよねー!」とか言ってますが、こんな平和な時代が幕末と比べものになるわけがない。  戦国時代は足利幕府と将軍が力を失い、全国の守護たる大名が群雄割拠してしまった時代。そして、幕末は200年以上続いた徳川幕府が滅び、武士が刀とちょんまげを捨てた時代です。  将軍もいない、幕府もいない、武士道も消える…。今まで普通に信じていた価値観が崩壊すると、人間は「天」という存在を意識するようになってしまうのです。  例としては、大河ドラマの「麒麟がくる」の麒麟のシークエンス(=1つのまとまったエピソード)や、西郷隆盛の「敬天愛人」などにも感じることができますね。  時として、それら「天」にまつわるスピリチュアルモードが悪用されることがある。1990年代のオウム真理教事件、昨今ではコロナ禍に起きたスピリチュアル詐欺など、動乱のどさくさに紛れて人々の心を支配し操ってしまうダークサイドは存在する。

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(2020/11/18)