坂田藤十郎さん、魅力の源は美への貪欲さ ファッションショーの真剣なまなざし、各国大使や夫人に囲まれた姿はまさに日本の宝だった(夕刊フジ)

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 上方歌舞伎の第一人者で、12日に老衰のため88歳で亡くなった歌舞伎俳優、坂田藤十郎さん。近松門左衛門物に欠かせない花形役者だった。  父、二代目鴈治郎との『曽根崎心中』のお初・徳兵衛は絶品だった。1953(昭和28)年、京都南座で当時、扇雀だった藤十郎さんの『曽根崎心中』に魅せられたアメリカ出身の日本文学者、ドナルド・キーン氏は、世阿弥の「風姿花伝」では年代によって「花」があるが、藤十郎さんには「あらゆる年齢の花がある」と絶賛した。  上方歌舞伎と江戸歌舞伎は歌舞伎を彩る双輪だ。2005年、元禄時代から約230年途絶えていた大名跡である四代目坂田藤十郎を襲名したが、その逝去で、西の藤十郎、東の團十郎が不在になった。  19年には藤十郎さんの米寿を祝い、1月に大阪松竹座、平成最後の4月には東京歌舞伎座で記念の舞台『寿栄藤末廣 鶴亀』が上演された。米寿公演を披露した歌舞伎役者が今までにどれほどいたことか。  古希になってもスキャンダルで注目を浴びた藤十郎さんだが、魅力の源は「一生青春」の座右の銘のごとく、美しさへの貪欲さだったからか。  数年前、東京・六本木であった芦田淳さんのファッションショーで、藤十郎さん、扇千景さん夫婦を見かけた。  ランウェーのモデルを見る真剣なまなざし、各国大使や大使夫人に囲まれた姿はまさに日本の宝だった。  そのときは「私は歌舞伎界の最長老になりましたが、頑張りますよ」という言葉を残し、颯爽と去っていった。歌舞伎界の大きな損失だ。 (小張アキコ)

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(2020/11/18)