最高指導者になって8年、習近平国家主席の現在地 元滋賀県立大学教授・荒井利明(SankeiBiz)

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 習近平が中国の最高指導者になって8年がたった。その権力、権威はどの程度まで強化されたのだろうか。  習近平は2012年秋の党大会(第18回)で共産党の最高ポストである総書記に就任すると、厳しい腐敗一掃キャンペーンを展開して政敵を一掃する一方、各政策分野で新たに設けた指導機構の最高ポストを独占して権限を拡大し、権力基盤を固めた。  16年秋の党中央委員会総会で、習近平は自己を党中央の「核心」に昇格させることに成功した。核心は単なる総書記とは違って、最高指導部内で判断が割れたときなどに最終的な決定を下すことができるといわれる。  翌17年秋の党大会(第19回)では、「習近平の新時代の中国の特色ある社会主義思想」が党規約に「行動指針」として明記された。党員、幹部はこの「習近平の思想」を学び、実践することが義務付けられたのである。  習近平は18年秋以降、「二つの擁護」(習近平の党中央の核心、全党の核心としての地位を擁護すること、党中央の権威と集中的統一的指導を擁護すること)を党の新しい法規に盛り込んでおり、幹部の評価においても、「二つの擁護」を重要な判断基準とすることが党内法規で規定されている。  習近平の政治手法の特徴の一つは法規化、制度化にある。それは毛沢東とは異なり、カリスマ性に欠けているからでもあるが、法規や制度によって、自己の権力と権威を着実に増大してきたといえよう。  先月下旬に開かれた党中央委員会総会のコミュニケは、「習近平同志が党中央の核心、全党の核心としてかじを取れば、必ず困難に打ち勝てることが、実践によって改めて証明された」と強調している。  こうした表現が党の公式文書に登場したのは初めてと思われるが、それは毛沢東時代に、毛沢東の個人崇拝を推進した林彪や周恩来らが口にした、「困難にぶつかったときこそ、毛主席の指導を信じて従うべきである」といった類の毛沢東礼賛の言葉を想起させる。  このコミュニケを論じた国営新華社通信の論評は、「習近平同志が核心としてかじを取ることは、第14次5カ年計画と長期目標を実現する上での根本的な保証である」と述べている。  このコミュニケや論評などからみても、習近平が2年後の党大会(第20回)以降も最高指導者としてかじを取り続けるのは間違いないだろう。(敬称略)

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(2020/11/18)