D2Cビジネスで重要なのは「動機」と「希望」。クラシコム青木社長×Takram佐々木氏が語る「ECの未来」【第2回】(ネットショップ担当者フォーラム)
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■ 見せ方、演出は真似できても、動機は真似できない
青木耕平氏(以下青木氏):社会が成熟していくごとに、人はどこでモノを選ぶか基準が変わっていくなという思いがあります。以前は商品を選ぶ決め手は「機能面」だったけれど、次第に情緒的な部分が重視されるようになり、最近は運営者の「動機」も見られるようになってきた。
佐々木さんが、「コモディティ化のスピードが速くなった」とおっしゃっていたように、D2Cブランドは「何でも汎用化してしまう」という傾向に対して抵抗したいんじゃないかと思うんです。
じゃあ、誰からも「奪われないモノ」とは? を考えたとき、それは「動機」かなと。「動機」は非常にあやふやでフワッとしたもの。直接伝えればインパクトがあり、価値も大きいですが、モノを売るには、卸元、小売りがあり、販売員がいて、いろいろなルートを通じて伝言ゲームで伝えていくわけです。
でも動機は下手すると「無いもの」と同義になるくらいフワッとしたものなので、正しく伝えるのは難しい。じゃあ、どうやってその「動機」という価値を伝えるかと考えたときに、「D(Direct)」にせざるを得ない、となってきているのではないでしょうか。
金子洋平氏(以下、金子氏):「D」でなければ、もはや伝わらない……?
青木氏:伝わらないですし、今は「どっちの動機がイケているか」の競争になっています。たとえば、私と佐々木さんが同じ商品を売っているとして、どっちの演出や機能がイケているかではなく、どっちの動機がイケているか。
佐々木康裕氏(以下、佐々木氏):「動機」はすごく興味深い視点ですね。たしかに、D2C的なクリエイティブや世界観の作り方、コミュニケーションの仕方は真似できます。でも、最後に「誰が」とか、「なぜ」という背景は真似できない。だから、そこを際立たせていく方が良いですね。
■ 消費者が求めているのは「希望」
青木氏:私は、お客さまが求めているのは「希望」だと思うんですよね。
金子氏:「希望」ですか。
青木氏:そう。本質的には「希望」を求めている。たとえば、ヤプリさんみたいにノーコードでアプリを作れるようになると、私たちみたいな中小企業の経営者は、1つの選択肢として希望が増えたことになります。
消費者はモノを買う行為に、ある意味では「絶望」していたのではないでしょうか。絶望とい