「サイコドラマ」で「自分」が分かる!(教員養成セミナー)
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求められる多様な役割を、自らが演じたいように、そして他者から期待されているように演じるためにはどうしたら良いのでしょうか。参加者とともに即興の劇を展開していくことを通して、役割演技の仕方を学ぶことができる心理療法に「心理劇」があります。これは「サイコドラマ」と呼ばれることも多いものです。
中学3年生の保護者会で「心理劇」を導入してみたとしましょう。まず、子どもたちの進路全般に関して担任が話をしました。その後、担任は保護者の中から2人を募り、1人は親役、もう1人は子ども役に決め、「少しの時間ですが、皆さんの前で劇を演じてみてください。親子で進路について話し合っている場面です。」と伝えました。
さて、どのような劇が展開されるでしょうか。最初に口火を切るのはどちらでしょうか。どのような言い方で、何を言うでしょうか。
親役の保護者が、いつも子どもに言っているような口調で、「こんな成績で希望の高校に行かれると思っているの?」と子ども役を叱責します。子ども役の保護者は、「なんで最初から喧嘩腰なの! ?」と反論しました。
子どもから反論などされたことがなかった親役の保護者は驚きます。喧嘩腰のつもりはなかったものの、自分の言い方が強かったのかもしれない。もっと子どもの言うことに耳を傾けなければいけなかったのだと気付きます。子ども役の保護者も、子どもの立場になってみると、まずは話を聞いてほしいものなのだと感じます。劇を見ている聴衆役の保護者も、劇の中に自分自身の日常を重ね合わせ、気付くことが出てきます。
与えられた役割を演じきるのは容易なことではありません。自分はどのような役割を担っているのか、その役割をどのように演じているか、振り返ってみると良いでしょう。
古川 聡
(国立音楽大学音楽学部教授)筑波大学大学院心理学研究科博士課程単位所得満期退学。学術博士(筑波大学)
※『月刊教員養成セミナー 2020年9月号』
「なぜ !? どうして !? 子どもの行動で分かる 教育心理入門」より