[寄稿]米大統領選とバイデンの経済学(ハンギョレ新聞)

【リンク先抜粋】
 結局、米大統領選で勝ったのはバイデンだったが、内容的にはかなり不都合な勝利だった。今回も多くの人々がバイデンの楽勝を予想したが、7300万人もの有権者がドナルド・トランプを支持し、接戦が予想された州でもトランプの敗退はギリギリだった。ブルーウェーブ(民主党に対する追い風、民主党の大勝)が期待された議会選挙も、民主党にとってはがっかりの結果だった。トランプの支持基盤だった低学歴白人と高齢者層の支持は以前より減ったものの、ヒスパニックと低学歴有色人種のトランプ支持はむしろ増加した。  2016年のトランプの登場は、グローバル化による不平等の深化とその敗者たちの不満を原動力にしたものだった。経済の両極化は政治の両極化を生む。実証研究は、中国からの輸入にさらされた選挙区ほど製造業の雇用が減り、不平等が深まり、その地域における政治的支持は左右へと、より極端に変化したと報告する。  もはや米国は、地域的にも明確に分断されている。今回の選挙では、民主党と共和党の一方に偏った選挙区が過去に比べてはるかに多くなった。バイデンを支持した地域は主に大都市の中心地であったが、これらの地域は国内総生産(GDP)の約70%を占め、2016年の選挙時の64%よりも高まっている。学歴と所得が高く、オートメーション化によって失われる危険性の高い雇用が少ない地域において、前の選挙よりも多くの支持がバイデンに集まった。  このように見ると、今回もトランプの善戦は、不平等の時代においてエリートたちが無視する疎外された人たちによるものだった。彼が退場したとしても、トランプ主義が消え去ることはないだろう。パンデミックがもたらした深い不況によって、すでに雇用と所得の格差は拡大しつつある。今後は、トランプ流の国粋主義的ポピュリズムと金権政治の結合が共和党のイデオロギーになる可能性が高い。一方、高学歴者や高所得者の党となった民主党の主流は、不平等に正面から立ち向かわなかった。今回の議会選挙においても、躍進したのは急進的な政策を主張する、アレクサンドリア・オカシオ=コルテス(AOC)に代表される民主党の左派陣営だった。  バイデンの経済学は、このような分裂を克服できるだろうか。彼の主な経済政策は財政支出の拡大と富裕層の増税だ。バイデン陣営は、クリーンエネルギーなどのインフラ投資への約2兆ドル、教育と育児への

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(2020/11/17)