法改正、販売中止からの復活劇。トミーカイラ、発売へ。──連載:自動車メーカーになった男 第21回(GQ JAPAN)

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「富ちゃん、ろくなことにはならないよ。スポーツカーメーカーは潰れる。やめたほうがいい」。ZZプロジェクトが佳境に入ったころ、親友の本田博敏が富田に送ったアドバイスだった。 けれども富田のスポーツカー造りに対する熱は常人の想像を超えていた。チューニングコンプリートカーを何千台と造った実績もあった。イタリアの至宝“アバルト”を抜くことだってできる。そう思っていた。 市販型ZZを発表し、熱狂的に迎え入れられたことでその端緒は開かれた。430台の受注で20億円の売上が立つ。富田にはそれを起点とした次なる野望も芽生えていた。 ところが、そんな富田の出鼻を大いにくじく出来事が“お上”から突然、降り掛かってきた。ちょうど生産プロトタイプが立ち上がった頃に運輸省(当時)が保安基準の改正を決めたのだ。簡単にいうと、それまで免除されてきたヨーロッパ製少量生産車に対する北米基準の前面衝突実験を今後は義務づける、という内容だった。 正にトミーカイラZZを狙い撃ちしたかのような法改正である。オリジナルスポーツカーの生産に飽き足らず英国の有名スポーツカーメーカーをトミタ夢工場が買収するらしい、というウワサも流れていた。 当時の自動車産業界には官民揃っていまだ“出る杭を打つ”雰囲気があった。どこからか入れ知恵された国会議員が、手柄を欲しがる自動車交通局に耳打ちしたのかもしれない。富田はそんな風に感じていた。

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(2020/11/15)