矢野阪神2年目の誤算(下) エラーに寛容すぎるチーム 拙守の克服が至上命題(産経新聞)
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藤川の引退試合となった10日の巨人戦。初回から守備の乱れで3失点する姿が、今季の阪神を象徴していた。平凡な二ゴロのトンネルで先制を許すと、2死一、三塁の場面では三塁走者の丸を誘い出したものの連係の乱れでアウトを取れない。チーム失策数は今季も12球団ワーストの85を数え、記録に表れない凡ミスも多かった。失策数は優勝した巨人の倍以上。特に内野陣の守備のもろさは最後までチームの弱点だった。
【写真】藤川投手の引退試合で送球を捕り損ねる木浪選手
野手が拙守を繰り返すたび、矢野監督は「あれでは投手が大変」と嘆いた。だが、実戦を想定した練習量が絶対的に足りなかったのはもちろん、選手の守備位置を固定しないチーム方針も多分に影響したのは否定できない。
首脳陣は終盤まで、野手に複数のポジションをこなせるユーティリティー性を求めた。特に打撃で著しい成長を見せた大山に対し、矢野監督は「本当は守備位置を固定してあげるのがいいのは分かっている」と言いながらも、三塁、一塁だけでなく、右翼や中堅にも初めて就かせるなど内外野の掛け持ちを強いた。
シーズン終盤、ボーアが来季構想から外れてチームを離れ、代わりにマルテが一塁を守った。だが、開幕前から三塁想定で練習していたこともあり、10月23日の巨人戦では一塁手としてのプロ野球ワーストを更新する1試合4失策の大失態をさらしたこともあった。
阪神の過去のリーグ優勝を振り返ると、強力な投手陣をそろえた2003年や05年はもちろん、猛打で圧倒したイメージが強い1985年も、安定した戦いの土台には堅い守りがあった。優勝時の主力メンバーだったOBの一人は「現在のチームは同じようなエラーを繰り返す選手に寛容すぎる。もっとミスを厳しく追及する雰囲気があってもいいのではないか」と指摘する。
新型コロナウイルスの感染者が相次いだ影響で、9月には二遊間を守る糸原と木浪がそろって離脱するなどアクシデントも多かっただけに、さまざまな布陣を試すことは大事ではある。だが、細かなプレーの失敗を見過ごしていては、チーム内競争を活性化する土壌は生まれない。
矢野監督の指揮ぶりについて、藤原崇起オーナーは「いろんなアクシデントがあるが、そのとき、そのときのセカンドベストを貫いている」と評価。12日のオーナー報告の場で、来季の続投を要請した。だが、来季こそ課題の