【変わる世界】米中東政策の“原状回復”は困難(産経新聞)

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 ■中川浩一・三菱総合研究所主席研究員  中東では今夏以降、トランプ米政権の仲介でイスラエルとアラブ諸国の国交正常化が相次いで実現しており、その流れはバイデン新政権下でも変わらないとみている。  バイデン次期大統領も、一連の国交正常化を「中東の深い分断を橋渡しする歴史的なステップ」と評価している。その点ではトランプ政権の功績は大きい。日本企業にとっては中東進出の好機であり、日本政府による後押しも重要となる。  一方でトランプ政権は、イランとの過度な敵対関係と、パレスチナ問題の矮小(わいしょう)化という、大きな「負の遺産」を残した。バイデン政権は、これらの問題で性急な対応をとるのは難しい。  歴代の民主党政権は、和平や人権を重視する立場から、強硬派の首相が率いるイスラエルや、人権問題を抱えるサウジアラビアなどとは関係が悪化する傾向があった。バイデン氏が仕えたオバマ前政権もそうだ。  しかし、トランプ政権がエルサレムへの米大使館移転やイラン核合意からの離脱を実際に行ってしまっている以上、“原状回復”は容易ではなく、バイデン氏としても当面はイスラエルやサウジとの対立は回避しようとするのではないか。  他方で、2003年のイラク戦争以後に米国を覆った深い厭戦(えんせん)気分などから、米国の中東におけるプレゼンス(存在感)が弱まる潮流は加速するだろう。  ただし、米国が中東から手を引きたくとも、中東各国が手を引かせてくれないという現実もある。イスラエルは同盟国である米国を必要としていることはもちろん、敵対するイランにとっても、米国は国内をまとめる上で必要な「敵」という側面がある。米国の撤退政策と中東各国の思惑のずれが新たな混乱をもたらす可能性は否定できない。(聞き手 大内清)

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(2020/11/14)