医者の表情が患者の痛みを変える? AI時代だからこそ考えたい、人が人を診る意味(HARBOR BUSINESS Online)

【リンク先抜粋】
 Chenら(2019)は自身の研究結果を次のように考察しています。 「医者の微細な表情変化が患者の痛みを軽減させるのに一役買っている可能性がある」 ということです。実に興味深いです。なぜそう言えるのでしょうか。実験のプロセスをみてみましょう。  実験のために集まってもらった参加者をランダムに医者役と患者役にわけます(便宜的に、それぞれの役割の参加者を医者あるいは患者と呼びますが、本物の医者及び患者ではありません)。  医者には、患者に、熱による痛みを軽減しないクリーム及び熱による痛みを軽減するクリームを塗ってもらいます。患者には、それぞれのクリームが塗られる毎に、熱による同程度の痛みを受けてもらいます。  このとき、医者はどちらのクリームが痛みを軽減するかについて知らされていますが、患者は知らされていません。しかし、実は、どちらのクリームも同じもので、痛みの軽減度に違いはありません。つまり、医者は、片方のクリームに効果があり、もう片方のクリームには効果がないという期待を持っている状況です。実験中の医者の表情変化を計測します。  熱による痛みを与えた後、患者には、どちらのクリームを塗っていたときの方が痛みが少なかったかを報告してもらいます。このとき、患者の皮膚コンダクタンス反応(皮膚の水分量に応じて変化する皮膚の電気伝導の反応)及び痛みに関わる表情も計測します。  実験の結果、医者が痛み軽減に効果があると期待していたときの方が、効果がないと期待していた場合に比べ、患者は痛みが少ないと報告し、患者の皮膚コンダクタンス反応も痛みに関わる表情も小さく生じることがわかりました。この結果は、実験条件を変えた2つの再現実験でも支持されました。  つまり、医者の「効果がある」というポジティブな期待が、患者の主観だけでなく、客観的な痛みを軽減させたというわけです。

続きはこちら

(2020/11/14)