陸上イージスの代替策はイージス艦? 議論が先祖返りする不思議(GLOBE+)

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だが、陸上イージスを導入したのは、そもそも海自のイージス艦への負担を軽減するのが狙いだった。 北朝鮮によるミサイル発射が相次ぐなか、政府は16年8月から18年6月までミサイル破壊措置命令に基づき、イージス艦1~2隻を日本海に派遣して24時間体制で常時監視する態勢を取った。 当時、海上自衛隊が保有するイージス艦は6隻。修理などがあるため、常に稼働状態にあるのは約4隻だったが、この大半がミサイル防衛の任務に投入された。だが、イージス艦の本来の任務は艦隊を敵の攻撃から守ること(洋上防空)だ。多くがミサイル防衛に回ったことで、東・南シナ海の海上交通路を守り、安全保障を巡る任務や米国などとの訓練への参加が難しくなった。 伊藤俊幸・金沢工業大学虎ノ門大学院教授(元海将)は「ミサイル警戒だけに専従させると、訓練ができず練度が落ちる。そもそも、警戒監視やシーレーン防衛が本来の任務だ」とも語る。 イージス艦でイージス・アショアの機能を代替しようとするなら、1か所あたり任務用に交代を含めた2隻、稼働率と他の任務に振り向けることを考慮するとさらに倍の計4隻が必要になる。陸上イージスは秋田県と山口県の2か所に配備する予定だったから、合計で8隻のイージス艦がミサイル防衛に投入される計算になる。 イージス艦の建造費用は1隻あたり約1700億円。うち2隻は、陸上イージスのシステムを移せるため、1隻あたりの費用は500億円程度に抑えられるかもしれないが、米海軍はイージス・アショアに導入予定のSPY-7レーダーを運用した実績はなく、メンテナンスやシステム改修のトータルコストは未知数だ。仮にそれらが安価に収まったとしても、8隻で1兆円を超える費用がかかる。改修も含め、6500億円とされた陸上イージスよりも高額な費用になる。 また、イージス艦には1隻あたり300人くらいの乗員が必要になる。だがすでにイージス艦だけではなく、海自の艦艇の大半が定員割れの状態だ。「イージス艦を増やせ」という提言に回帰するなら、自衛隊の要員や予算の見直しが必要になる。国防議連の提言は「海自の要員確保には、予算措置と併せた充足率向上などの対策が必要だ」としているが、政治家が責任をもって主導できるかどうかが問われることになる。

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(2020/11/14)