「視聴者からの電話」 バランス感覚と勇気を持った対応が必要(夕刊フジ)

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 【テレビ用語の基礎知識】  テレビ局には視聴者からたくさんの電話がかかってきます。私もテレビマンの中では多くの苦情電話を受けたほうだと思います。入社してすぐに総務局総務部に配属になり2年ほどいたのですが、ほぼ毎日「久米宏さんがニュースステーションで山羊の話をすると私に電波が刺さるので、止めさせてほしい」という同じ女性からの電話に対応し続けました。  上司は「放っておけばいい」と言っていましたが、単純に好奇心もそそられたのもあり、毎日話を聞くうちに女性の境遇になんとなく同情しました。そのうち指名で電話がかかってくるようになって、いろいろ打ち明けていただけるようになりました。最終的には住所もお名前も電話番号も教えていただいて、ご親族の方ともお話をし、治療を受けていただく約束もしてもらえました。その時はなんとなく嬉しかったです。  局には「視聴者センター」といったような名前の、視聴者からの電話に対応する部署があり、番組で取材したお店の連絡先などの情報をあらかじめ伝えておくと問い合わせに対応してくれます。しかし対応しきれない電話や、センターの勤務時間外は番組に電話が回されてきます。「報道ステーション」にいた頃は、夜なのでホロ酔いの方からよくお怒りの電話がかかってきました。  「この世の中にはたくさん重要なニュースが起きているのに、なぜ長い時間を割いて野球などというくだらないスポーツの結果を放送するのだ? アメリカの陰謀だろう」という電話を、これまた毎日のように受けた覚えがあります。よく考えると私はそういう固定客に当たりがちですね(笑)  1日だけですけど、「視聴者センター」に研修に行ったこともあります。朝から晩まで、いろいろな電話に応対し続けるのですから、かなり精神的にも大変です。テレビ局というと、派手な制作現場ばかりが注目を集めがちですが、こうして地道に頑張っている人たちがたくさんいて放送という仕事が成り立つのだなと実感しました。  名カメラマンと呼ばれた大先輩が視聴者センターに異動になり、電話応対をしていました。「文句があるなら今から来い! 俺は○○だ。相手になってやる」と、その先輩が視聴者と大喧嘩をしていて、ちょっと切ない気持ちになりました。  視聴者の声をちゃんと聞きながらも、世間に迎合するのではなく、伝えるべきはちゃんと伝えるという「バランス感覚と

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(2020/11/13)