行政が非正規拡大に加担か 江戸川区が労働者派遣行なう法人設立へ(週刊金曜日)

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 昨年4月に20年ぶりに新区長が就任した東京・江戸川区で、区が労働者派遣事業を行なうための一般社団法人を設立する予算を計上し、議論を引き起こしている。  斉藤猛区長が9月17日の区議会招集者挨拶で述べた内容ほかによると、新法人は今年度内の設立と来年度の事業開始を目指しており、派遣労働者として雇用する対象には障害者や高齢者のほか、就労していない期間が長いために就労機会に恵まれない人たち(いわゆるニートなどと呼ばれる層)などを想定。これらの人たちを区役所や民間企業に派遣することで就労機会を提供するという。一方で派遣会社との正規雇用関係のもと派遣先で就労する「常用型派遣」は行なわず、派遣先での就労期間中だけ雇用関係が生じる「登録型派遣」と、最長6カ月の派遣期間終了後に労働者と派遣先双方が合意すれば正規雇用される「紹介予定派遣」を行なう予定という。  10月22日に行なわれた江戸川区議会の定例会本会議では、同法人の設立準備経費2000万円を含む来年度の補正予算案に、議長を除く43人の議員のうち42人が賛成し、すでに可決。だが唯一の反対票を投じた滝沢泰子区議は次のように説明する。 「就労機会に恵まれない人たちを区が支援すること自体は賛成ですが、その手段として直接雇用を進めるのではなく、派遣事業を行なう理由がわかりません。私は対象となる労働者を区が直接雇用した場合と派遣した場合にどのような利益と不利益が生じるのかを尋ねましたが、区ではそうしたもろもろの課題の検討さえしていませんでした。行政機関は民間企業の真似でなく、税金を原資としなければできないことをすべきです」  斉藤区長は「実現すれば全国で類をみない」計画(前述挨拶より)と胸を張るが、非正規雇用の拡大に、行政が事業者側の立場で加担する影響は計り知れない。 (古川琢也・ルポライター、2020年10月30日号)

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(2020/11/12)