米大統領選、バイデン氏が当選確実に 日本経済への影響は?(THE PAGE)
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バイデン氏が掲げる経済政策はトランプ氏とは正反対です。トランプ氏は自由貿易に否定的で、中国からの輸入に高い関税をかけたり、TPP(環太平洋パートナーシップ)協定をはじめとする多国間自由貿易交渉を拒否しています。一方、バイデン氏は基本的に自由貿易主義者であり、中国とは人権問題などを絡めた上で貿易について再交渉する方針です。米国内では、TPPへの反対論が多いですから、バイデン政権になったからといって米国がTPPに復帰するとは限りませんが、これ以上、米中貿易が停滞することはなさそうです。
日本は製造業を基幹産業としており、自由貿易から極めて大きな利益を享受しています。世界最大の消費国である米国と、世界最大の工業国である中国が貿易戦争状態になると、日本にとっては大きな逆風です。日本から中国に輸出される製品の多くは、中国が米国向けに製造する製品に用いられていますから、中国から米国への輸出が減ったことで、日本から中国への輸出も減少し、多くのメーカーが業績面で打撃を受けました。米中貿易が復活すれば、日本メーカーの業績も持ち直しが期待できます。
バイデン政権のもうひとつの特徴は脱石油です。バイデン氏は選挙戦を通じて、再生可能エネルギー分野に4年間で2兆ドルを投資する方針を示してきました。トランプ政権は基本的に脱石油に否定的でしたが、米国が脱石油に舵を切ることで、欧州、中国、米国の足並みが揃いますから、一気にエネルギーシフトが進む可能性が高まってきました。
菅首相はバイデン氏の当選を予見していたのか、大統領選の選挙期間中に日本も2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにする方針を表明し、安倍政権のエネルギー政策を大きく転換させました。日本にはEV化の恩恵を受ける優秀な部品メーカーがたくさんありますから、こうした業界には大きな追い風となるでしょう。
一方で、石油元売り各社や石炭火力発電所に依存している既存の電力業界にはマイナスとなる可能性が高く、NTTなど再生可能エネを手がける新規参入事業者との競争が激化しそうです。
(The Capital Tribune Japan)