「田沢ルール」に日米で温度差…なぜメジャーでは廃止が話題にならず?(日刊ゲンダイDIGITAL)
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今年のドラフト会議の大きな話題のひとつは、2008年に設けられたいわゆる「田沢ルール」の廃止と、レッズ傘下3Aルイビル・バッツを経てルートインBCリーグの埼玉武蔵ヒートベアーズに所属する田沢純一(34)を指名する球団が出るか、という点であった。
「田沢ルール」は、アマチュア選手が日本のプロ野球のドラフト指名を拒否し、直接外国のプロ球団と契約した場合、大学卒業者と社会人は2年間、高校卒業者は3年にわたり、外国球団を退団した後もプロ野球12球団と契約できないという申し合わせ事項だ。
アマチュア選手が日本ではなく大リーグを含む海外の球界を選ぶのは選手本人にとって日本のプロ野球が「一番興味のあるリーグではなかったということ」というのが選手会の主張であり、経営者側は田沢の事例を容認すれば今後、有力なアマチュア選手の「流出」が続いてドラフト制度が崩壊するという懸念があった。
一方、大リーグ機構は、日本側と双方のドラフト候補選手との交渉は行わないという紳士協定を結んでいた。だが、田沢のようにアマチュア選手自身が大リーグへの挑戦を希望している場合、本人の意思を尊重しないのは職業選択の自由に反するとして、機構は紳士協定の適用除外を明言した。この時、日本側との交渉を担当したのは、当時機構の労務担当副会長で現コミッショナーのロブ・マンフレッドだった。
日本では「田沢ルール」は田沢の問題が解決した後も関係者の大きな注目を集め、申し合わせそのものが廃止された現在も、公正取引委員会が「田沢ルールは独禁法違反のおそれがあった」という見解を示した。
これに対し、米国では「田沢ルール」が話題となる機会は乏しい。わずかに2012年のドラフト会議の直前に、当時花巻東高校3年生であった大谷翔平が日本のドラフトを拒否して直接大リーグ球団と契約する可能性が取り沙汰された際、日本のアマチュア選手が置かれた状況を説明するために「田沢ルール」が「タザワ・ペナルティー」として紹介された程度である。
日米の球界の「田沢ルール」に対する態度の差は、日本側が人材を提供する側であり、大リーグが受け入れ側である点に由来する。
プロ球団のドラフト会議で指名される水準に達している選手に限りがある以上、有力選手が一人抜けることは、少なくとも戦力補強という点で各球団の選択肢を狭める。
しかし、毎年各球団