AI革命へ次の一手は 攻めに転じるソフトバンクG(産経新聞)
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ソフトバンクグループ(SBG)が9日発表した令和2年9月中間連結決算は、最終利益が1兆8832億円と同社の中間決算としては過去最高益となった。投資先の株価回復に加え、米携帯電話大手TモバイルUSなどの株式売却益が寄与した。野村証券によると国内企業の9月中間決算としても過去最高とみられる。最近は資産売却など守りが目立った同社だが、孫正義会長兼社長は「潤沢な現金が手元にある。攻めに行く」と言及した。
同社が今後の投資先として目を付けるのが人工知能(AI)の分野だ。同社は9月に傘下の英半導体設計大手ARM(アーム)ホールディングスを、AI分野で存在感を強める米半導体大手エヌビディアに売却した上で、同社の主要株主になることを発表。AI分野で世界と戦う下地が整いつつある。AIは今後あらゆる業体が導入する技術とされ、孫氏も「人類の未来はAIにある。これからエヌビディアの時代がくる」と強調した。
アームはスマートフォン向け半導体の設計で世界シェア9割を占めるSBGの有望株だが、高度な画像処理半導体(GPU)で知られるエヌビディアと互いの得意分野を組み合わせることで、より高度なAI開発につながるとされる。単独で保有し続けるよりも、売却してエヌビディアの株主になった方がメリットが大きいと判断した。
孫氏は近年、投資先企業の子会社化にこだわらず、柔軟な連携により相乗効果を生んで成長を目指す「群戦略」を取っている。各企業が自律的に意思決定を行い、緩やかに連携する方がメリットが大きいとの考えに立っているからだ。
ただ弱点もある。「投資先を誤れば大きな損失につながる」(グロービス経営大学院の斎藤忠久教授)からだ。共有オフィス「ウィーワーク」を運営する米ウィーカンパニーの経営悪化で、SBGも昨年赤字に転落。また、主な投資先である新興企業は景気下降局面では影響を受けやすいほか、半導体はGAFAなど米巨大ITも進出。持続的な成長には不確定要素も大きいのが実情だ。(蕎麦谷里志)