安部トシ子さんの花嫁相談室 第72回「結婚式はなぜするの?」(25ansウエディング)
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結婚式を挙げないまま10年経った方が言った言葉が忘れられません。「こういうことで主人と言い争うのは結婚式を挙げていないからなのかなと、日々の生活で生じる全然関係のない問題も、全部そこに結びつけて考えてしまう」と。そんな言葉が出るのは心のどこかに「やっぱり挙げておけばよかった」という後悔が残っているからだと思うのです。
結婚式を挙げなかった人で、「結婚式なんて挙げなくてもいいわよ」と言う人はごくわずかです。未知のものというのは年数が経てば経つほど美しく感じるようになり、それにつれて経験できなかったことを残念に思うようになるからです。
今は「この時期、友達も多くは呼べないし、挙げなくてもいいわ」と思うかもしれません。けれどここで結婚式をやめてしまったら、彼とふたりできちんと誓わないまま物事を始めるあやふやさと、「挙げておけばよかった」という後悔だけが残るでしょう。誓いの大切さだけではありません。自分が中心人物となり、親が絡んだり、親戚からご祝儀をいただいたり、友人に「おめでとう」と言葉をかけてもらうことで、人には自覚や覚悟のようなものが芽生えます。けじめのないスタートがふたりをいい夫婦にするだろうかと考えると、私にはどうしてもそうとは思えないのです。
さらに、結婚式にはたくさんの気づきがあります。日常生活ではお互いに照れて言わないような言葉でも、結婚式なら言えます。彼の笑顔、お母さまの涙、お父さまが緊張しながらヴァージンロードを歩く姿、すべては家族の大切な思い出になります。そういうものが残る人生は、幸せだと思いませんか?
式という言葉は「竹の節」と似通います。入学式、成人式、人生にはいろいろな節目がありますが、なかでも結婚式は特別なものです。自分の意志でタイミングを決められる貴重な式であり、内容もパートナーとふたりで一緒に決めます。そんな節目は一生に一度しかありません。
竹は節があるから強いといわれます。よい節目をつくることにより、しなやかに、さらに上へと成長できるのです。竹のように、ふたりで最初につくる節を大切にして、この先の人生を実り多いものにしてほしいと願います。