ストーンヘンジ期に全島規模の宴会イベント、10倍の巨大環状遺跡も【古代文明、謎の魅力】(ナショナル ジオグラフィック日本版)

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 ストーンヘンジで火葬された人間の遺体と、ダーリントン・ウォールズから発掘されたウシの骨についてのそれまでの分析結果は、今日のウェールズなど、どちらもかなり遠いところからやって来たことを示唆していた。  けれども、ブタの骨を分析した研究者はいなかった。ブタは長距離の移動が苦手なはずで、祭祀の参加者がどこから来たかを知る手がかりにはならないと考えられていたからだ。  しかし、ブタを遠くから連れてくることは本当に不可能なのだろうか?  疑問を抱いた研究者たちが、ダーリントン・ウォールズやマーデンなど、4カ所の新石器時代後期の遺跡から出土したブタの骨131点を分析した。結果、そこで食べられたブタの大多数が、現地で育てられたものではなく、ブリテン島各地から連れてこられたものであることが明らかになった。その距離は少なくとも50kmで、550km以上のこともあり、なかにはスコットランドから連れてこられたブタもいた。  ほかにも、たとえばダーリントン・ウォールズのブタは、さまざまな環境で育っていた一方で、餌は同じようなものだったことも分かった。これは宴の規模の大きさを反映していると、論文の筆頭著者で英カーディフ大学の考古学講師であるリチャード・マジウィック氏は信じている。つまり、地域で残飯を与えられたブタをかき集めたのではなく、ブタの大群を森で餌を食べさせながら移動させたのだ。 「宴に参加した人々は、儀式のために、はるばるブタを連れてきたのです」とマジウィック氏は言う。 『Lesser Beasts:A Snout-to-Tail History of the Humble Pig(劣った獣:つつましいブタたちの全歴史)』の著者であるマーク・エシッグ氏は、この結果は理にかなっていると考える。「ブタの群れを移動させることなどできないというのは間違った思い込みです」とエシッグ氏。19世紀の米国では、ブタをケンタッキー州中部からサウスカロライナ州沿岸部までいつも歩かせていたと指摘する。  新石器時代の祭祀場にブリテン島全土から人々が集まってきていて、なかにはかなり遠くからも来ていたことは、宴が開かれた祭祀場が歴史上最初の「汎ブリテン島」イベントの会場だったことを示している。ここまで交流が深く、社会が複雑だったとは、誰も予想していなかった。

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(2020/11/07)