内包するリスクが浮き彫りに… IT社会の「お見合い」を防ぐには(産経新聞)

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 野球でやってはいけないプレーの一つに「お見合い」がある。守備についた選手の間に落ちてきそうな打球を、互いに譲り合って捕球に向かわず、落球させてしまう消極的なプレーだ。「向こうが捕ってくれるだろう」。そんな思い込みから生まれる。 【表でみる】ドコモ口座不正利用の手口と問題点  そんな「お見合い」をみているようだった。NTTドコモの電子マネー決済サービス「ドコモ口座」を利用した不正な預金引き出し問題。被害は発端となったドコモ口座と連携させていた銀行にとどまらず、別のスマートフォン決済サービスや銀行へと数珠つなぎで拡大した。  問題点として指摘されているのが、スマホ決済の口座と銀行口座を連携する際の本人確認が不十分だった点だ。取材すると「向こうが対策をしていると思った」という無責任な声のほか、「こちらはセキュリティー強化を強力に依頼した」と主張する銀行に対し、スマホ決済事業者が「断るわけがない」と反論する水掛け論も繰り広げられた。  あきれるばかりだが、この問題はもっと根深い。デジタル社会が内包するリスクが浮き彫りになったともいえるからだ。デジタル化がすすめば、さまざまなモノやサービスがシステムでつながり、便利で効率的な社会が実現できるとされる。その過程では企業連携も加速する。  つまり、どんな業界でも「お見合い」が生じるリスクがあるということだ。システムを外部とつなぐというのは、自社のシステムに穴をあけることに他ならない。これまでのように、自社だけを見ていたのでは安全は守れない。システム全体、サービス全体という視点でリスク管理を行うことが不可欠となる。  野球部員だった中学時代、「お見合い」を防ぐには捕る側が声を出すのが鉄則と教わった。悩ましいのは双方が声を出したときだ。衝突してけがをするリスクもある。野球担当の記者によると、プロの世界では双方が声を出したとき、どちらが捕るかは事前に決めているのだという。  なるほど同じことがビジネスの世界でもいえそうだ。何よりも重要なのは企業間のコミュニケーションということだろう。システムだけではない。問題が起きたときの責任の所在や広報のあり方など幅広い視点が大切だ。(経済本部・蕎麦谷里志)

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(2020/11/07)