NTT、6Gへ地固め 対GAFAの軸はドコモ(産経新聞)
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NTTの令和2年9月中間連結決算は、売上高に当たる営業収益が前年同期比3・0%減の5兆7113億円、最終利益が1・1%減の5415億円の減収減益だった。新型コロナウイルス感染拡大の中で営業利益で増益を確保するなど、堅調といえる結果だったが、グーグルやアップルなどの「GAFA(ガーファ)」と呼ばれる米巨大IT企業の脅威は増すばかり。NTTドコモの完全子会社化をテコに、どう対抗していくか注目される。
「(ドコモを完全子会社化しなければ)移動通信と固定通信が融合する、第5世代(5G)移動通信システムの次世代規格『6G』では(GAFAとの)戦いには臨めない」。NTTの澤田純社長は6日の決算会見でこう強調した。
GAFAは、自社サービスを拡大させるため、世界各地にデータセンターを建設しており、インターネット通信の大部分はGAFAのデータセンター間のやりとりが占めている。海底ケーブルは今やGAFAのデータセンターをつなぐためのものとなり、通信網構築にはGAFAの意向が強く反映される。
海外ではGAFAは海底ケーブルの敷設プロジェクトに直接参加するようになっており、人材の引き抜きにも積極的。グーグルのグループ会社が空中に浮かぶ携帯電話基地局の開発を手掛けるなど、無線通信でも存在感を増している。通信システムはソフトウエア化が進んでおり、電線や基地局といったハード中心の技術の優位性が失われれば、ソフト開発に強いGAFAの侵攻を招きかねない。
デジタル社会ではさまざまな企業が通信事業者と手を組んで、事業変革を進めるが、通信分野をGAFAに握られれば、主導権を奪われてしまう。各企業が持つ貴重なデータを独占されるリスクもある。
NTTの念頭にあるのは、6Gなど次世代通信での覇権争いだ。ドコモが培った移動通信の技術とNTT傘下のNTTコミュニケーションズなどが持つ固定通信の知見を連携させて、次世代通信の開発を主導することで、GAFAの通信分野への進出を阻みたい考えだ。
6Gでは海中や宇宙空間など、あらゆるところで高速通信が可能になるといわれ、NTTは光通信の技術を利用した次世代の超高速固定通信の構想を掲げている。(高木克聡)