【コラム/「賞レースのユクエ」byオスカーノユクエ】史上初!秋の重要映画祭スイープを成し遂げた「ノマドランド」はこのままアカデミー賞も制するのか?(映画.com)

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 アカデミー賞の行方を占う上で最も重要視されるのが、トロント国際映画祭。各スタジオがアカデミー賞狙いの勝負作をこぞって出品する最重要の映画祭だ。  この映画祭がユニークなのは、もっとも注目を浴びる最高賞が、お祭りに参加する人たちの投票によって決まる“観客賞”であること。カンヌやヴェネチアといった権威ある映画祭が、プロの審査員によって選ばれるのとは対照的だ。しかし、一般の参加者によって決められるこの観客賞は、他のどんな賞よりもアカデミー賞を占う眼力に優れている。  過去20年、トロント国際映画祭で観客賞を受賞した作品がアカデミー賞作品賞にノミネートされたのは実に12回。ノミネート確率は驚異の60%にのぼる。そのうち受賞に至ったのは4作品で、一昨年は全くノーマークだった「グリーンブック」を見事にすくい上げている。  そんなトロント観客賞を今年受賞したのが「ノマドランド」だ。60歳を過ぎて夫と死別し、職を失った女性が現代の遊牧民=ノマドとなって生きる姿を描いた作品で、静謐な画面から発せられる力強いメッセージに多くの賛辞が寄せられた。  このトロントでの戴冠だけでもオスカーレースで主役を張る資格十分なのだが、そのわずか1週間ほど前、「ノマドランド」は世界三大映画祭のひとつであるヴェネチア国際映画祭の最高賞(金獅子賞)をも手中にしている。毎年9月に行われる両映画祭はイベントとしての性格も、選ばれる受賞作の性質もまったく違っており、だからこそ同じような時期での開催にもかかわらず、それぞれが独自の存在感を保っている。  それが、今年は両映画祭の最高賞が史上初めて一致するという“事件”が起きた。後発のトロント国際映画祭が誕生した1978年から42年間、ただの一度も受賞作が被っていなかったのだから、「ノマドランド」が成し遂げた秋の重要映画祭スイープはとんでもない快挙と言っていい。  ちなみにヴェネチア国際映画祭金獅子賞とアカデミー作品賞の一致は、過去20年でノミネート4回、受賞1回(「シェイプ・オブ・ウォーター」)。トロント観客賞に比べれば決して一致率は高くない。ただ、ここ3年は連続してアカデミー作品賞ノミネートを輩出しており、その影響力は以前よりも増していると言えるだろう。  そんなわけで、現時点の前哨戦実績では「ノマドランド」が一人勝ち状態なのだが、この作品には、こ

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(2020/11/06)