「差別の科学」として忌み嫌われた「現代の進化論」が、唯一残された「希望」へと変わった【橘玲の日々刻々】(ダイヤモンド・ザイ)

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 4年間のトランプ政権下で、リベラルな知識人のあいだに「このままではアメリカ社会は分裂し、崩壊と破滅が待っているだけだ」との悲観論が広がった。こうした絶望は、新型コロナで露呈された経済格差や人種問題、今回の大統領選をめぐる混乱によってさらに深まっている。  そんななか、ニコラス・クリスタキスの『ブループリント 「よい未来」を築くための進化論と人類史』(News Picks)は、「私たち一人ひとりが自分の内部に「善き社会をつくりあげるための進化的青写真(ブループリント)を持っている」とのポジティブなメッセージを送る。原題は“BLUEPRINT : The Evolution Origins of a Good Society(青写真 善き社会の進化的起源)”。  クリスタキスは『つながり 社会的ネットワークの驚くべき力』(講談社)などの著作で知られるネットワーク理論の第一人者で、新型コロナの感染拡大ではSNSでの積極的な発言が注目された医学者でもある。『ブループリント』は、進化社会学という新たな学問領域の格好の道案内にもなっている。 ●「共同体のなかで生存・生殖する能力」こそが「遺伝子に暗号化されている普遍的特性」  クリスタキスは『ブループリント』で、ヒトの本性の暗い側面ばかりに注目する風潮に警鐘を鳴らし、それは「標高1万フィート(約3000メートル)の高台に立って2つの丘を調査している」ようなものだという。このとき、一方の丘は高さ約300フィート(約90メートル)、もう一方の丘は高さ約900フィート(約270メートル)だとしたら、3倍ものちがいはものすごく大きなものに思えるだろう。しかし、この2つの丘の高さのちがいにばかり気をとられていると、どちらも標高3000メートルの高台にあることを見逃してしまう。この高台こそがブループリント、すなわち「遺伝子に暗号化されている普遍的特性」だ。  クリスタキスは、徹底的に社会的な動物として進化したヒトの本性を「社会性一式(ソーシャルスイート)」としてまとめている。  1 個人のアイデンティティを持つ、またそれを認識する能力 2 パートナーや子供への愛情 3 交友 4 社会的ネットワーク 5 協力 6 自分が属する集団への行為(すなわち内集団バイアス) 7 ゆるやかな階級制(すなわち相対的な平等主義) 8 社会的な学習

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(2020/11/05)