レイズ、強さの裏に常識破る戦術革新 主導したのはプロ野球経験のない金融マン(夕刊フジ)

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 【小林至教授のスポーツ経営学講義】  MLBの2020シーズンが完了した。その最後を飾るワールドシリーズは、野球ファンでなくとも知っている名門球団ドジャースと、その不人気(観客動員は9年連続リーグ最下位)ぶりが業界内でひっそり囁かれているレイズの対決となったことから、その格差が話題になった。  ドジャースの年俸総額はいつも最上位を争う位置にあり、今年は2位。一方、レイズの年俸総額はいつも最下位かその付近である。20年の年俸総額およそ30億円が、ドジャースのクレイトン・カーショーやデヴィッド・プライスの年俸より少ないことを指摘する報道もあった。  そんな不人気で渋ちんのレイズだが、ことチーム成績となると話は別だ。ヤンキース、レッドソックスと名門かつ富裕な球団がしのぎを削るア・リーグ東地区にありながら、毎年のように優勝争いに加わっている。  FA権を獲得するまでの年数が短く、外国人枠がないMLBは、カネで選手をかき集めることが容易である。裏を返せば、隠れた逸材を発掘して育てても、花が開けば裕福な球団に取られてしまう。  そんな環境下で、引き留めるカネはなくとも、独自の統計指標で選手を発掘して躍進した例がマネーボールで有名になったアスレチックスだが、レイズはその進化版である。アスレチックスの統計改革を主導したビリー・ビーンGMは元々、ドラフト1巡目指名の野球人だが、レイズの革命を主導したのはプロ野球経験のないウォールストリートの金融マンだ。野球界の常識や慣習を疑い、ウォール街がそうしているように統計の専門家を雇い、独特の切り口で分析した統計指標をもとに、合理的でイノベーションあふれる戦術を次々と世に送り出してきた。  たとえば内野手を極端に片側に寄せたり、外野に4人配置したりなど、極端な守備隊形を組むシフト。12年にレイズが始めたときは物議を醸したが、いまやMLBでは当たり前の光景である。オープナーもそうである。質の良い先発投手をそろえるのはカネがかかる。かといって、いきなり大量失点では勝負にならない。ということで、先発投手に比べて年俸が低い中継ぎ投手を先発させて、短いイニングで繋ぐという戦術は物議を醸したが、その後、他球団にも波及している。  プロスポーツの業界は、うまくいった戦術は一般社会のように特許で保護されることもなく、必ず他球団が模倣するため賞味

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(2020/11/05)