大病院の過半数、事故報告「ゼロ」…医療事故調査制度5年(産経新聞)

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 患者の「予期せぬ死亡」を対象に5年前に始まった医療事故調査制度をめぐり、全国にある400床以上の大病院の過半数が、調査の起点となる第三者機関への事故報告を1度もしていないことが分かった。専門家からは「報告に抵抗感があるからではないか」との指摘もあり、第三者機関では厚生労働省が高度医療を提供する特定機能病院に立ち入り検査する際、報告件数も確認項目に加えるよう求める方針だ。  ■機構へ報告義務化も…判断は病院側  制度は医療法改正に伴い、診療や治療に伴う想定外の患者の死亡や死産を対象に平成27年10月にスタート。再発防止を目的に掲げ、第三者機関「日本医療安全調査機構」への報告や院内調査、遺族への調査結果の説明が義務化された。遺族が院内調査に納得できなければ、機構に再調査を依頼することもできる。  だが、機構に報告するかどうかを判断するのは遺族ではなく病院側で、報告は制度開始以降、年300件台で推移。当初、機構は過去の発生状況などから最大で年2千件程度と見込んでいたが、大きく下回っている。機構によると、制度発足以来報告実績ゼロの病院は昨年12月時点で、400床以上の大病院に限っても、788院中447院と約57%を占める。  ■「事故」は過失イメージ…通称名検討  機構は病院側に報告を促すため、昨年末に作業部会を設置。「医療機関は『事故』という言葉に、悪い、過失のイメージを抱く」とし、医療事故に代わる通称名を検討している。また、厚労省が特定機能病院に医療法に基づき立ち入り検査する際、機構への報告件数も確認するよう要請する予定という。作業部会の委員を務める「患者の視点で医療安全を考える連絡協議会」の永井裕之代表は「機構が病院を指導する権限や責任を強化する必要がある。報告件数が増えなければ、遺族に信頼される制度にならない」と話す。  事故を起こした病院が自ら調査する制度に不信感を持つ遺族も多い。機構が30年に医療事故の遺族に実施したアンケートでは、23遺族中9遺族が院内調査を「理解できなかった」と回答。11遺族が「調査結果に納得できなかった」としていた。医療問題に詳しい松田耕平弁護士は「医療事故の真相究明と再発防止には、病院側が事故の発生直後に遺族に丁寧に説明し、遺族の声を聞くことが欠かせない。遺族側が病院に対して事故調査を求める権利を認めることも必要だ」と指摘す

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(2020/11/05)