麻生綾の美容枕草子~センシャルなものーー冬の果物(25ansオンライン)

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この冬は「果物の香り」がかなり気になっています。えっ、冬に果物? それに「果物の香り」というと、なんとなく10代の女の子に似合いそうな、初心者向けの可愛くてユルいフレグランスを想像しちゃいます? まあ実際、大方のフルーツノートはベリー系のわかりやすい甘さ、もしくはレモンに代表される爽やかな香調、それでもってボトルはお約束のパステルカラーかもしれません。 「何それ、今さらそんな鼻タレ娘と同じ香りはごめんだよ」という香り上級者の皆さん。お勧めしたいのはそうじゃなくって18禁、大人の果物です。思い出してください。「熟れた」とか「したたる」とか「かぶりつく」とか、もともと果物を描写する言葉はかなりエロティック。で、そこに目をつけた? のがトム フォード ビューティの新作「ビター ピーチ」であります。 「ビター ピーチ」って……。本来、プリティな存在であるはずの桃が「苦い」とは。めちゃめちゃ想像が膨らみませんか? 意識して見ないようにしている桃のもうひとつの側面――うっすらと産毛を生やしたぬめぬめとマットな肌感、そしてはち切れんばかりの重量感ある丸みには、ご丁寧に割れ目まで。二重の意味で「美味しそう」と、思わずゴクリと唾を飲んでしまいます。 そうそう、私(根暗)の好きな映画・ベスト5に入るであろう作品に、ロマン・ポランスキー監督の『赤い航路』があるのですが、その原題が「BITTER MOON」。要は「HONEYMOON」の真逆で(未見の方はそれでストーリーをお察しください!)2組の夫婦の物語なのですが、何ともダークでエロくて辛くて胸が苦しくなる内容で……。「ビター ピーチ」はそれと同じで、一筋縄ではいかない大人の事情、さらにはおいそれとは他人に明かせない性癖までも内包している(であろう)フレグランスなのです。 すっかり前置きが長くなりました。肝心の香りといえば、桃の肌を思わせるパウダリー感に、潰されてしたたり弾け跳ぶ桃汁のフレッシュさが合わさるというかなり画期的なもの。はい、間違いなく初めて「味わう」香りです。 具体的には最初に飛び込んでくる桃とブラッド オレンジによるフルーティフローラル感が、ハートノートではスパイスやダヴァナ オイルで甘苦く変わり、最後はサンダルウッドやヴァニラでますます官能的に昇華。見た目とネーミングにすでにしてやられていた私には刺激が強すぎて

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(2020/11/03)