『万引き家族』『新聞記者』から『滑走路』へ…現代社会を映し出す“社会派ドラマ映画”の魅力(MOVIE WALKER PRESS)

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映画は“時代を映す鏡”である。いまの世の中が抱える社会問題を取り扱った“社会派ドラマ映画”は、これまでも国境を超え、観る者の心を揺り動かしてきた。 【写真を見る】激務に追われる厚生労働省の若手官僚の鷹野を浅香航大が演じる 特に近年日本では、第87回アカデミー賞外国語映画賞部門に出品されたほか、第38回モントリオール世界映画祭で最優秀監督賞を受賞した『そこのみにて光り輝く』(14)以降、『恋人たち』(15)や『彼女がその名を知らない鳥たち』(17)、『万引き家族』(18)、『新聞記者』(19)などの社会派ドラマ映画が次々と現れ、いずれもカンヌ国際映画祭パルムドールという快挙や、日本アカデミー賞で最多受賞を達成するなど、国内外の映画賞でも”お墨付き”な作品ばかり。 これらの作品のテーマとなるのは、貧困や労働問題、複雑な人間関係、政治権力の闇など、我々がいままさに直面している根深い課題ばかり。『そこのみにて光輝く』では、世代を超えて続く負のスパイラルを断ち切れぬまま、社会の底辺で生きる登場人物たちの過酷すぎる生活環境が映しだされていたし、きつい現実や理不尽さに苦しみながら幸せを求めて生きる人々の絶望と再生を描く『恋人たち』も強烈な印象を残す。 主要キャスト全員が新境地を拓いた『彼女がその名を知らない鳥たち』は、心の奥底に渇望を抱える人々の歪んだ究極の愛を観る者に突きつけ、『万引き家族』では、年金だけでは暮らせず、生活費を万引きで稼ぐ一家の血のつながりを超えた“絆”が描かれ、現実の事件を彷彿とさせる権力とメディアの“闇”の関係を描いた『新聞記者』は、日本社会のタブーに切り込んだ作品として世の中を騒然とさせた。 そしていま、新たな社会派ドラマ映画として注目を集めている作品が、32歳の若さでこの世を去った歌人、萩原慎一郎の生前唯一の歌集を映画化した『滑走路』(11月20日公開)だ。 ■他者の痛みに寄り添いつつ、明日への希望を詠んだ歌集を又吉直樹も絶賛! 萩原が短歌を始めたのは高校2年生の時、俵万智のサイン会に参加したことがきっかけ。中学、高校時代に遭ったいじめを起因とする精神不調に悩まされ、自宅療養と通院で、時間をかけて大学の通信制を卒業したあとは、アルバイトや契約社員など非正規雇用で働きながら、短歌を詠み続けた。各種短歌大会へ意欲的に応募して受賞を重ねてきた彼にと

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(2020/11/03)