【藤井康雄連載コラム】イチローが僕に見せてくれたおちゃめな一面(東スポWeb)
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【藤井康雄「勇者の魂」(13)】イチローは1994年に210安打で大ブレークしました。彼の打席を見るのは楽しみだったし、僕も振り子打法のマネをしたことも…。無理だったけど(笑い)。体の使い方のタイプが違うからなんだけど、彼は自分の体の使い方を小さいころからわかっているんです。自分で自分をコントロールするのは難しいし、打撃がおかしくなって、どこが悪いんだって思ってもなかなか修正できないもんなんだけどね。
ご飯を食べて帰ってきても夜中から合宿所で打撃マシンを打つとか、そんなマネできないですよ。なんでそんなにストイックになれるんだろう。職業とはいえ、20歳そこそこの若者が、野球のことだけを考えて生活していくという、その考え方が僕らとは違うんだなと思っていましたね。夜ご飯もずっと毎日、神戸の牛タン屋でしょ。それもすごいよねえ。
守備範囲も広くて、センターがイチローでレフトがデカ(高橋智)の時。レフトフライをデカが見失った、と思ったら後ろからイチローが来て普通に捕って、普通にショートにボールを返した(笑い)。その生意気な感じがすげーなと思ったね。僕も94年はライトに入っていたからそういうのはしょっちゅうだし、右中間は彼に任せた方がよかったですもん。同期の田口壮(オリックス野手総合兼打撃コーチ)と仲が良くて、彼も足も速いし、肩も強く、身体能力が高い。イチローと田口は高卒と大卒で4年間違うんだけど、合宿所で田口の体を見てびっくりして、これは鍛えないといけない、と思ったらしいです。
イチローは人気が出ると外にもなかなか出られなくなりますよね。移動も混乱防止で時間差になるし、本人も僕らも気を使うようになってきて、食事に誘いにくくなってきます。オフのある日、東京にいた時に「藤井さん、新宿の靴屋に付き合ってください」と言われて行ったこともありましたね。あいつバスケットシューズを集めるのが好きで、レアなやつがあるとか言って。孤独というか、年々そういう状態になっていったと思うので僕はなるべく声をかけるようにしていましたね。
スターダストレビューのライブに行ったこともありました。彼が面白いと感じたかどうかわからないけどね(笑い)。楽屋に行ったら根本要さんとかメンバーがビックリしてました。
イチローを助手席に乗せ、僕の運転でライブに向かう途中、面白いことがありました。当時、イ