「源氏物語」定家本など名宝が福岡に里帰り 九州歴史資料館で特別展(産経新聞)
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福岡県ゆかりの文化財でありながら、さまざまな理由で県外の博物館や美術館の所蔵となった考古資料や美術品の里帰り特別展「福岡の至宝に見る信仰と美」が、九州歴史資料館(福岡県小郡市)で開催されている。同資料館が太宰府市から移転して10年になる記念企画で、国宝6件、重要文化財22件を含む89件を展示している。29日まで。(永尾和夫)
【写真】一貴山銚子塚古墳から出土した三角縁神獣鏡
東京国立博物館から27件の文化財を借り受けたのをはじめ、京都、奈良の両国立博物館など各地の博物館、美術館の協力を得た。古文書、銅鏡や経筒(きょうづつ)、芦屋釜(あしやがま)と茶道具などを7章に分けて展示している。
目玉の一つは昨年発見された「源氏物語 若紫」。歌聖ともいわれた藤原定家が鎌倉時代に校訂したことから「定家本」と呼ばれ、現在普及している「源氏物語」の原本とされる。すでに確認されている定家本4冊はすべて重要文化財になっている。「若紫」は、もともと福岡藩主の黒田家にあったが、江戸中期に老中の大河内家に譲渡された。昨年10月、定家本と確認されたばかりで、九州では初の公開となる。「若紫」には定家が青い墨で校訂した跡が残っているという。
観世音寺(太宰府市)の資財帳(財産目録)は、延喜5(905)年の作成で国宝。観世音寺は天智天皇が、筑紫の朝倉宮で崩御した母の斉明天皇の菩提を弔うため8世紀に創建した。その後、同寺は奈良の東大寺の傘下に入ったことから東大寺に資財帳が移管された。しかし、なぜか流出。現在は東京芸術大学の所蔵となっている。
三角縁神獣鏡3枚は、昭和25年に糸島市の一貴山銚子塚(いきさんちょうしづか)古墳から、京都大学の小林行雄氏らが発掘した。同氏は三角縁神獣鏡が同じ鋳型から製作されている点に着目。鏡は当時のヤマト政権と有力豪族との間で交わされた盟約の証として配分されたとの学説を唱え、注目された。京都大学総合博物館の所蔵。
また、春日市の紅葉ケ丘遺跡で出土した銅戈(弥生時代後期)27本は、同市奴国(なこく)の丘歴史資料館(2本)と京都国立博物館(25本)に分かれて所蔵されているが、久々に一堂に集合したものだ。
金銅板両界曼荼羅(まんだら)は、9枚の金銅板を折り畳んで携行できる。鎌倉時代、現在の柳川市にあったとされる「筑後国瀬高御庄内清楽寺」に奉納された。しかし