駒大・田沢で逆転V「令和の常勝軍団」可能性秘める(日刊スポーツ)
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<全日本大学駅伝>◇1日◇熱田神宮西門前~伊勢神宮内宮宇治橋前(8区間106・8キロ)
【写真】ゴールし、チームメートに抱きつく駒大のアンカーの田沢
駒大が5時間11分8秒の大会新記録で6年ぶり13度目の優勝を飾った。エース田沢廉(2年)が最終8区の残り1キロで猛スパート。ずっと東海大アンカー名取燎太(4年)の背中に付き、勝機をうかがった。目まぐるしく順位が変わる歴史的な大激戦を、一撃必殺の仕掛けで勝負を決めた。連覇を狙った東海大は2位、1月の箱根王者・青学大は4位。今季はコロナ禍で出雲駅伝が中止となり、今大会が「大学三大駅伝」の開幕戦だった。
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106・8キロの長丁場の勝負が決したのは、残り1キロだった。田沢は横目で、名取の顔色を確認した。その瞬間だ。蓄えていた力を一気に爆発させた。タスキをもらってから、18キロ以上はライバル校エースの背中にピタリと付き、「静」を貫いていた。まさに一撃必殺のスパート。もう1段の余力も残していたが、使う必要はない。接戦に終止符を打ち、何度もほえながら、フィニッシュテープを切った。
「もともと、どこで仕掛けようという計画性はなかった。何となくで決めた。不意に仕掛けてることで、『えっ』という思いをさせたかった。それがうまくいった」と笑った。レース全体で見ても、駒大が先頭を走ったのは、最後1キロだけ。まさにエースの勝負強さが最たる勝因だった。57分34秒は区間賞でもあった。
偉大なOBからも影響を受ける。東京オリンピック(五輪)マラソン代表の中村匠吾は、今も駒大が練習拠点。印象的な姿勢の1つが食生活だ。ジュースなどは控え、飲むのは水ばかりと知った。まだ同じくらいにストイックにマネできないことには苦笑いだが、「徐々に変えていこうと思う」。自然と目にできる背中を、成長の糧とする。「将来は中村選手のように五輪選手になりたい」と力強く語った。
これで「平成の常勝軍団」は、単独最多22度目の「大学三大駅伝」制覇だ。令和に変わって以降は、初優勝。大八木弘明監督は「令和の常勝軍団を作りたい」。下級生は粒ぞろい。再び黄金時代の到来する可能性は十分だ。【上田悠太】