「地銀再編」は何のためか?「数合わせ」ではなく地域経済への還元を(nippon.com)

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「コロナ後の産業構造の変化に立ち向かう企業のリスクを金融が分担しなければならない」-。金融庁の氷見野良三長官は、金融庁発足以来、20年間の金融行政を振り返り、金融機関が必ずしも企業のリスクを分担してこなかったことに対して、このような問題意識を抱いている。 確かに1990年代に始まった金融危機を乗り越えるためには、不良債権処理を断行し、金融システムの安定を最優先しなければならなかった時期もある。しかし、そうした危機は企業にとっても同様に試練であった。銀行の貸し渋り、貸しはがしを目の当たりにした企業は、資本市場の批判にさらされながらも、内部留保を蓄積し、自己資本を厚くする自己防衛で、危機を乗り越えるしかなかった。 他方、不良債権を許さない厳格な金融庁検査は、問題が終局を迎えた2000年初頭を過ぎても変わらず、その結果、銀行は担保と保証に過度に依存し、企業の事業性を見極められず、リスクも負えない存在となった。 そして、コロナ禍だ。人の接触、集合、移動を制限するという社会経済の新常態(ニューノーマル)に突入し、またもや企業は変化への適応を迫られている。もはや「金融システムの安定」を守っているだけでは、世の中に必要とされている金融機能を十分に発揮したとは言えない。 そして地銀、信用金庫、信用組合の地域金融機関には避けて通れない使命がある。メガバンクではなく、地域金融機関がやらねばならない仕事がある。 一例だが、それは取引先の事業承継だ。メガバンクが主たる取引先とする大企業では、どのような不祥事があっても、経営トップに立つ後継者は必ずいる。しかし、中小企業は違う。どのような優れた技術を持ち、熟練の職人集団を抱え、しかも黒字決算であっても後継者不在であれば、会社は存続できない。 場合によっては、地域外の企業に買収されれば、工場や技術、技術者、雇用は「効率化」「選択と集中」の名の下に地域外に流出しかねない。中小企業の事業承継は、地域の存亡に直結する。だからこそ、地域金融機関にとって企業支援は営業基盤を守る意味において不可避の業務なのだ。 この目的を果たすために、経営体力、人材、そして何よりも経営能力が欠乏している場合に限り、手段としての地銀再編が選択肢となる、と問題を整理した方がいい。

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(2020/10/31)