スタイリストブランド最前線──祐真朋樹のファッション手帖(GQ JAPAN)

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通常、スタイリストはブランドから服や小物を借りてきてスタイリングするが、時にはアーティストのステージ衣装や広告撮影用に服を「作る」場合もある。それはもちろん、クライアントの要望に全面的に沿ったものだ。でも、長くこの仕事をしていると、スタイリストの究極のゴールというのは、自分が着たい服や誰かに着せたい服をかたちにしたブランドを持つことなのかもしれないと思えてくる。服を作って一儲けしたいというのとは違う。それよりもまず「着てみたい」、あるいは「着せてみたい」服のイメージがあるのだ。それがビジネスとして成功すれば、もちろん万々歳なのだが……。言うは易し。現実には様々な壁が立ちはだかる。今回は、そんな壁をものともせずに突き進み、道なき道を進む3つのスタイリストブランドを紹介する。 まずは大久保篤志氏の『THE STYLIST JAPAN』から、ペイズリー柄のスリーピース。コーデュロイの質感とフレアパンツが醸し出す70sのムードはこのブランドならでは。手に持ったAMERICAのアルバム『Hat Trick』の世界とも相通じるものがある。シャツとタイもペイズリー柄とエクストリームな組み合わせだが、柄の大小、色選び、素材の織りなす妙が落ち着いた印象を与える。フレアパンツと絶妙にフィットしたジャスティンのペコスブーツは氏の私物だ。 次は馬場圭介氏の『NORMAN』。ボマージャケットにケーブルニット、そしてバギーパンツにスニーカー、つばの大きいクラウンハットという組み合わせだ。古着屋『Council Flat 1』のオーナーでもある彼は、僕が知り合った30年前からロンドン狂。店に揃える古着も作り出す服も、すべてがロンドンベースなのが明快だ。シンボリックな帽子について尋ねると、「ルードボーイっぽくしたかったけど、ジャマイカンがかぶったら似合うかなと……」。スカを連想する答えが返ってきた。 太めのボーダーTに漆黒のM-65は野口強氏の『MINEDENIM』。極限的にスリムなベルベットの5ポケットパンツにスエードブーツ、プリントのボーダーシャツ、肩が少し落ちるサイジングのM-65など、どれも長年の経験からくるこだわりが細部にまで反映されたものだ。 ベテランスタイリストがこれまでの経験を一気に詰め込んだ世界を、僕たちも一緒に愉しみたい。

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(2020/10/31)