BL(ボーイズラブ)と社会とのコンフリクトを考える──『BLの教科書』が目指したこととは?(GQ JAPAN)

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──前篇の最後で、「BL研究をするしんどさ」について言及されました。そもそも「BLを愛好していることを隠さなければならない」という考え方がなぜこんなに浸透したんでしょうか。 堀:BLには性的な表現が含まれるので「女のくせにエロいものを見ている」ことが社会的にまだ恥ずかしいことだと思われているところがあるし、当の本人もそう考えているというのはひとつあると思います。もうひとつには、BLファンに対するバッシングも存在してきました。それも「BLが好きです」と言いづらくなっている要因だと思います。 それから、男性同士の恋愛という、社会的にまだマイノリティであるものをマジョリティがエンターテインメントとして楽しんでいるという差別の問題が関係してきます。性的マイノリティを作品で扱っているんですから、地続きですよね。だからこそBLはゲイ男性からもずっと批判されてきました。なので、作家さんは「自分が描いたものが誰かを傷つけてしまうんじゃないか」と考えるし、「これを楽しんでいていいのかな」と思うBLファンも多い。だからこそ隠れるんだと思います。 GQ編集:以前、知り合いのゲイ男性が「フェミニストを表明しているような人がBLを読むのが理解できない」と言っていたことがありました。それはつまり、女性の権利を主張する人が、ほかのマイノリティを傷つけてもいいのか、という意味だったのだと思います。そのときはうまく反論できなかったのですが、本書で前川直哉さんが書かれた「ゲイ男性はBLをどう読んできたか」を読んで、いろいろなことが腑に落ちました。 堀:ゲイ男性の中でも当然意見は分かれますよね。女性ジェンダーの間でも「BLはちょっと……」って人もいるんだし、それ以上に意見が分かれるのは当然のことだと思います。もちろん前川さんの意見がゲイ男性すべてを代表するものでもない。でも、「嫌だな」と思う人がたくさんいるということは、BLファンは心に留めておくべきじゃないかと思います。それくらい、人を傷つけてしまう可能性がある。それはもちろん、BLに限らず表現一般に言えることなのですが。

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(2020/10/30)